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成年後見

障がいのある子のための相続③

2020.09.08

「親なき後問題」(両親の死後や認知症になった後などに、知的障がいや精神障がいのある子どもの面倒をだれが見るのか)に備えた相続の説明の最終回です。

前回は、「親なきあと問題」に障害のある子どもが自分らしく生きていくための相続の方法として、任意後見人制度について説明させて頂きました。

今回は、最近注目されている家族信託制度を利用した方法についてご説明させて頂きます。

家族信託契約とは、ごく簡単に説明すると、ある目的に沿って、「受益者」(利益を受ける人)のために「委託者」(財産を持っている人)が、「受託者」(信頼できる人)に名義を変えて財産管理を信託する契約をいいます。

家族信託契約が注目されるのは、信託契約書に本人の希望やそれを遂行するための権限を記載することで柔軟な財産管理ができるからです。
信託契約書に書かれた本人の希望に反しない限り、受託者は、柔軟な財産管理・積極的な資産の有効活用ができるのです。

例えば、妻を委託者、夫を受託者、障がいのある子を受益者として、自分(妻)の財産を障害のある子どものために使って欲しいとの家族信託契約を締結することが考えられます。
障がいのある子どもに兄弟姉妹がいれば、兄弟姉妹が同意してくれれば、兄弟姉妹を受託者とすることもできます。

上記の兄弟姉妹を受託者とした家族信託契約では、最初の受益者を妻、妻が亡くなった後の受益者を夫、夫が亡くなった後は障がいのある子を受益者とするような財産の承継先を連続で指定できるというメリットがあります。

柔軟な財産管理ができる家族信託契約はメリットが多く見えますが、比較的新しい契約方法なので、専門的な知識がなければ目的を達成するのが困難であることや税務申告の手間が増すことがデメリットとして存在します。
もっとも、弊所には家族信託に精通した弁護士が多数在籍しており、税理士法人も併設しているので、弊所にご相談をいただければデメリットはないようなものですが…。
 
また、家族信託契約と前回紹介した任意後見契約を組み合わせることで、より障がいのある子が自分らしく生きていけるように財産を残すことが可能です。
なお、今回ご紹介できなかった方法として遺言書を利用する方法があります。遺言書を利用する場合は、遺留分という問題に備える必要があります。
例えば、障がいのある子に不動産を残したい場合には、遺留分を考えた現金を用意することを考えなければなりません。

障がいのある子どもが、その子らしく生きていけるための相続をするには、法律や税務の専門的な知識が必要となります。
障がいのある子のための相続を考えている方は、民法や信託法に通じた弁護士や税理士のいる弊所に、是非ご相談ください。

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