heritage division遺産分割一般

不在者財産管理人とは

2022.01.11

 

はじめに

例えば、ご両親が亡くなり相続が発生した場合、遺言書がないときは相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありますが、相続人の中に所在不明の不在者がいた場合、遺産分割を行うことが出来ないことになります。

このような場合に裁判所にかかる不在者の財産管理を行う人の選任申立てを行い、不在者に代わり不在者財産管理人との間で遺産分割協議を行う方法があります。今回は、この不在者財産管理人選任申立てについて、解説していきたいと思います。

不在者財産管理人とは

不在者財産管理人選任申立てについて

まず、不在者財産管理人選任申立ては、不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所に行うことになります。
なお、管轄裁判所は以下の裁判所のウェブサイトにて確認できます。
(https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html)。

なお、不在者管理人の選任申立てには不在者であることを証明する必要がありますが、不在者であることを証明する方法としては、以下のような方法があります。

①戸籍の附票や住民票により住所地を調査する。
②関係者に不在者の従前の生活状況、不在となった経緯、不在者の捜索状況、将来帰ってくる可能性などを問い合わせる。
③警察署長の発行する行方不明者届出受理証明書
⇒警察署に証明書取得を依頼して断られた場合には、裁判所にその旨を伝えますと、裁判所が警察署に照会をかけ、行方不明者届を受理しているか回答を得られる場合があります
④不在者宛の返送された郵便物
⇒「宛て所に尋ね当らず」等の理由により返送されたもの

そして、遺産分割協議が目的の場合、裁判所は、不在者財産管理人は弁護士、司法書士等の専門家を選任するより、内部的事情をよく理解しており遺産分割がまとまりやすい相続人ではない親族を選ぶ傾向があります。
そこで、申立ての際に直接的な利害関係のない者を不在者財産管理人の候補者とすることで、その者が選任されることも多いのが実情となります。

不在者財産管理人とは

選任申立て後について

選任の申立て後、約1ヶ月から2ヶ月程度で不在者財産管理人が選任されるかどうかの結論がでます。
なお、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加することは、管理行為の範囲を超えていますので、不在者財産管理人は裁判所から権限外の行為許可を求めることになります。

もっとも、裁判所が許可しても他の相続人が協議に納得しなければ意味がないため、裁判所の許可を得てから遺産分割協議を行うのではなく、相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の了解を得た遺産分割協議書案を裁判所に提出して許可をもらうことになります。

そして、遺産分割協議について、家庭裁判所の許可を得るためには、遺産分割の内容が、不在者にとって不利でないということが必要となります。

そのため、原則として不在者が法定相続分を相続する必要がありますが、不在者が遺産分割協議に参加していても、不在者が法定相続分以下の取得で遺産分割協議が成立したと思われる場合には、不在者の取得分が法定相続分以下でも裁判所が認めてくれる可能性があります。

なお、不在者の取得分が法定相続分以下となる具体的な事案としては、以下のようなものがあります。

①不在者が被相続人から相当な生前贈与を受けている等の特別受益に該当する事情がある場合
②不在者が被相続人から法定相続分を上回る多額の借金をしていて、返済しないまま所在不明になっているような場合
③他の相続人に寄与分が認められる場合

以上のような事情があれば、法定相続分以下の遺産分割協議でも裁判所の許可が下りる可能性があります。

まとめ

以上のとおり、相続人の間に不在者が存在する場合には、遺産分割協議を行うために不在者財産管理人選任申立てを行い、裁判所の権限外許可を得た上で、原則として不在者が法定相続分を確保する内容の遺産分割協議を行うことになります。
不在者財産管理人選任申立てや遺産分割協議の内容は複雑になることもありますので、弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

 

弁護士:川畑 貴史執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
川畑 貴史 TAKASHI KAWABATA
得意分野は相続、刑事、企業法務問題。
座右の銘は『急がば回れ』

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