procedure registration

相続登記

法定相続情報証明制度について

2021.04.18

高齢化社会の影響により所有者不明の土地や空き家などが増加し、社会的な問題となり、これに伴い社会的関心が高まっています。
この問題の要因の一つとして、相続登記が行われないまま放置されていることが指摘されています。
相続登記を行う際の書類収集の負担が大きく、また手続きが煩雑であることが、放置に至る原因になっていると考えた法務省は、この問題に対処すべく、相続手続きの負担軽減のために新たな制度として、「法定相続情報証明制度」が創設されました。

負担軽減のために創設された「法定相続情報証明制度」ですが、利用するためにはどのような申請が必要になるのでしょうか。今回は、「法定相続情報証明制度」を利用する際の具体的な申請手順についてご説明いたします。

1.法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度とは、2017年より始まった制度です。
これまで、被相続人名義財産の名義変更を行うためには、法定相続人確定のために故人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍や、相続人とのつながりを示す戸籍など、多くの戸籍を収集したうえで、手続きを行う必要がありました。

名義変更の手続きを行う機関に応じて、以前収取した戸籍と同じ戸籍を再度収集する必要が生じたり、また、収集した戸籍に過不足があった場合には、再度、役所に出向き戸籍収集を行わなければいけませんでしたが、「法定相続情報証明制度」により、このような負担がなくなりました。

一度戸籍収集を行い、その他の必要書類を法務局に提出することで、法務局が「法定相続情報一覧図」を作成し、相続関係を証明してくれるため、相続人や名義変更の手続きを行う機関の双方において、収集作業や確認作業が減り、大幅な負担軽減へとつながりました。

2.必要書類について

「法定相続情報一覧図」を作成するために、次の書類が必要となります。

①被相続人(代襲相続がある場合は被代襲者を含む。)の出生時~死亡時までの戸籍除籍謄本又は全部事項証明書
役所などに戸籍を請求したときに、その一部が滅失して交付が不能な場合には、交付不能であることの証明書を発行してもらいましょう。例えば、日本国籍を有しないなどの理由で一部分を添付することができない場合は一覧図の作成ができませんので、ご注意ください。

②相続人の戸籍
「法定相続情報一覧図」は被相続人の死亡時点の相続人を表す証明書となるため、被相続人の死亡日よりも後に発行された戸籍が必要です。

③被相続人の最後の住所が確認できる住民票の除票又は戸籍の附票
住民票などの資料は市町村によって保管期間が決まっているため、廃棄されている場合もあります。この場合には、添付せずに作成が可能です。

④相続人の住民票(相続人の住所を一覧図に記載したい場合のみ添付)
相続人住所の記載は、一覧図の任意的記載事項となるため、相続人の住所を記載しない場合には添付が不要です。

⑤申出人の戸籍(申出人が相続人の地位を相続により承継した場合)
①又は②において、戸籍を準備している場合、その戸籍内において、申出人が相続人の地位を相続により承継していることが確認できれば、別途添付する必要はございません。

⑥申出人の氏名及び住所が記載されている証明書(住民票記載事項証明書または運転免許証の写し等)
この証明書は、登記官が申出人の本人確認を行うために必要になります。

⑦代理人の権限を証する資料(代理人が申し出する場合)
~法定代理人の場合~
・親権者又は未成年後見人の場合:申出人である未成年者の戸籍
・成年後見人、保佐人、補助人の場合:申出人である成年被後見人や被保佐人、被補助人に係る後見登記等ファイルの登記事項証明書(なお、被保佐人・被補助人については代理権目録付きのもの)の他、後見等開始及び成年被後見人等の選任に係る審判書や、確定証明書の添付でも構いません。
・不在者財産管理人・相続財産管理人の場合:申出人である各管理人の選任に係る審判書

~委任による代理人の場合~
委任状と併せて、次の書類を準備することが必要です。
・親族の場合:申出人との親族関係が分かる戸籍(②の戸籍と同一である場合には省略することができます。)

なお、添付書類が不足している場合には、登記官より一定の期間補完期間を設けてその提出を求められることとなります。不足書類が提出されない場合には、申出人に対し申出書等を返戻する旨の連絡があり、返戻が行われます。返戻にも応じない場合には、申出日から3か月後に廃棄ができると決められています。

3.法定相続情報一覧図の写しの取り扱い

それでは「法定相続情報一覧図」の写しは具体的にどのような手続きで使うことができるのでしょうか。

(1)不動産登記の申請等における「法定相続情報一覧図」の取り扱い
「法定相続情報一覧図」の写しで対応ができる申請手続きには、例えば次のものが挙げられます。
・一般承継人による表示に関する登記申請
・区分建物の表題登記
・相続による権利の移転登記
・地図などの訂正
・登記識別情報の執行の申出/証明
・事前通知に係る相続人からの申出等
相続人が登記名義の申請を行う際に、「法定相続情報一覧図」に相続人の住所が記載されていれば、相続人の住所を称する情報として認められます。そのため、新たな住民票の取得が不要です。

(2)その他
「法定相続情報一覧図」の写しを利用できる各種手続きのうち、不動産登記手続きの他には、相続税の申告、預貯金の解約手続きや株式の相続手続、生命保険の解約返戻金の手続などがあり、様々な場面で活用されています。

4.まとめ

法定相続情報証明制度の運営が開始されたことで、これまで何度も戸籍等を収集しなければならなかった相続手続きを、一度の収集のみで相続手続きを進めることができるようになりました。

しかし、相続手続きは戸籍の収集だけでなく、他にも多くの手続きが発生します。例えば、相続の金額によっては、相続税が発生したり、遺言書の検認手続や、相続財産の調査などを行う必要があります。必要に応じて、早めに専門家に相談し、相続手続きを進めましょう。

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