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遺産分割での紛争

相続に関する法律と税金④生命保険の受取金はどう扱われる?

2021.03.23

結婚や、お子さんの出産など、家族構成が変わる場面等で、万が一自分に何かがあった際の備えとして、生命保険の契約を行う方は非常に多いと思います。

また、親族や、知り合いの方に保険会社に勤務されている方がいらっしゃる場合には、勧められて保険の契約を行われてるという方も少なくないのではないでしょうか。

1.はじめに

多くの方が加入されている生命保険は、被保険者がお亡くなりになった際に、受け取り人に対し、契約上決まっている金額(保険金額)が支払われることになり、保険金額が高額になることも少なくありません。

そして、生命保険をめぐり相続の場面では、親族間でトラブルになることもあります。
この生命保険についてですが、弁護士の分野でも、税理士の分野でも、一般の方と認識と、実際の取り扱いが非常に異なる分野であり、相続に関する問題でも特殊な位置づけにあります。

当事務所は、弁護士のみならず、税理士も在籍しており、弁護士の分野でも税理士の分野でも非常に重要な役割を有する生命保険についても専門的な知識を有しています。

そこで、今回は、生命保険の受取金(死亡保険金)がどう扱われるのかについて、弁護士の分野及び税理士の分野のそれぞれからご説明させていただきます。

2.死亡保険金は相続財産ではない

結論からお伝えすると、標題にあるように、生命保険の死亡保険金は相続財産ではありません。
相続財産でない以上、相続人が複数いる場合であっても遺産分割の対象となることはなく、遺産分割を減ることなく、死亡保険金が受取人に支払われることになります。
この結論だけをご説明すると、ご納得いただけない方もいらっしゃるのですが、今回は理由についてご説明させていただきます。

まず、相続財産とは、簡単にいうと、被相続人が死亡した時点で所有していた財産のことをいいます。
こう考えると、生命保険について、被相続人が契約者兼被相続人の場合、保険の契約者が被相続人である場合には、イメージとして死亡保険金も相続財産に含まれてもいいようにも思えます。

しかし、死亡保険金は、生命保険の契約に基づき、「保険会社から受取人に支払われる」ため、被相続人の財産ではないため、相続財産に該当はしません。
このように、死亡保険金は、相続財産ではないため、基本的に遺産分割の対象にはなりません。

そうすると、相続人の1人だけが、死亡保険金を受け取っていたとしても、遺産分割には影響しないため、死亡保険金を受けとった相続人も、きちんと法的相続分を取得することができます(もっとも、財産のほとんどを生命保険の掛け金としてしまう場合や相続財産に比して死亡保険金の金額があまりにも高額な場合には、特別受益として考慮された裁判例もあるため注意が必要です。)。
また、遺留分を侵害されたとして遺留分減殺(侵害)請求をする場合であっても、死亡保険金の金額は遺留分の計算に影響を及ぼすことはありません。

したがって、生命保険は、相続税対策のみならず、遺留分対策としても頻繁に活用されています。
すなわち、多額の金銭をもっており、一部の相続人に多く財産を承継させたいと思っている場合、遺言を作成するだけでなく、生命保険に加入し、承継させたい人を受取人に指定しることで、遺留分計算の基礎となる相続財産の額を減らす(保険料を支払うため現金が減ります。)だけでなく、遺留分の支払を請求された場合、受領した死亡保険金を支払の原資にすることができるため、生命保険は遺留分対策としても活用されています。

3.相続税でも保険は対象外になるのか?

上記のように、生命保険の死亡保険金は、相続財産に含まれず、遺産分割の対象にもなりません。そうすると、相続税においても死亡保険金は課税対象に含まれないというのが自然なような気がします。

しかし課税対象に一切含まれないとすると、相続税の支払を回避するために、極端な例ですが、全ての財産を金銭に換価し、全財産を生命保険の保険料として支払ってしまえばどれだけ財産が多くとも、相続税を支払わなくてよいということになってしまいます。

そこで、相続税法上、生命保険の死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税に課税対象に該当すると規定されています。
もっとも、死亡保険金額全額が、課税対象となるわけではなく、「法定相続人の人数×500万円分」の金額については、非課税枠があります。

例えば、被相続人が3人の場合には、死亡保険金額が1500万円までは、非課税ということになります。
このように、相続税については、死亡保険金は課税対象になるのですが、非課税枠があるため、多額の金銭を持たれている方は、生命保険に入ることで、保険料を支払い、現金(預金の額)を減らすことができるだけでなく、非課税枠をいっぱいまで使うことで相続税の額を減らすこともできるため、節税効果が期待できます。

4.まとめ

以上のとおり、生命保険については、弁護士の分野のみならず、税理士の分野においても節税効果があるため、非常に重要になってきます。
生命保険については、契約者や被保険者が誰であるかによって所得税や贈与税が発生する場合があるため、安易に加入することは適切ではありません。できれば専門家である税理士にご相談することをおすすめします。
また、当事務所であれば、遺言の作成、節税対策、遺留分対策など相続に関する問題を一度に解決することが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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