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遺留分コラム

遺留分と特別受益の関係について

2024.06.28

監修 國丸知宏弁護士

はじめに

相続に関する問題は誰にでも起こり得ることですので、できるだけ多くの知識を持っておいて損はありません。今回は、「遺留分」と「特別受益」の関係について解説します。

1.遺留分ってそもそも何なの?

遺留分とは、分かりやすく説明すると、相続において法定相続人に保証されている最低限の取り分のことを指します。法律上、被相続人がどのような遺言を残していたとしても、特定の相続人は遺留分を確保する権利を持っています。具体的に、遺留分が認められる相続人には、直系尊属(親など)、直系卑属(子供や孫など)、配偶者が含まれますが、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。この制度は、被相続人が遺言によって特定の相続人に全財産を渡すと決めた場合でも、他の相続人が最低限の相続を確保できるようにするためのものです。
例えば、被相続人が全財産を友人に遺贈すると遺言していた場合でも、相続人である子供や配偶者は遺留分を請求することができます。遺留分は、相続人が生活を維持するための最低限の権利として保障されているのです。
悩む女性

2.遺留分の計算方法は?

遺留分の計算方法は、相続人の種類によって異なります。具体的には、直系尊属のみが相続人の場合、遺留分は法定相続分の3分の1となります。それ以外の相続人、つまり直系卑属や配偶者が相続人の場合は、遺留分は法定相続分の2分の1です。例えば、被相続人に子供がいる場合、その子供の遺留分は法定相続分の2分の1となります。
遺留分の計算は、まず相続財産の総額を算出し、その上で法定相続分を基に遺留分を計算します。例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子ども2名の法定相続分は各4分の1となります。このうち配偶者の遺留分はその2分の1、つまり4分の1となり、子ども2名の遺留分は各8分の1となります。
遺産総額にこの割合を乗じた金額が遺留分となります。

3.特別受益って何?

特別受益とは、相続人の中で生前に被相続人から特別な利益(贈与など)を受けた者がいる場合の、その金額のことをいいます。この特別受益については、遺留分を計算する場合に、遺産総額に加えて計算することになっています。例えば、ある相続人が被相続人から生前に住宅購入資金として多額の贈与を受けていた場合、その金額も相続財産に含めて計算することになります。
具体的な計算方法としては、相続財産が1億円、相続人がお子様2名(AさんとBさん)のみの場合で、被相続人が遺言書でAさんに全財産を相続させるという遺言書を作成していたとしましょう。亡くなられる5年前に子供の1人Aさんに2,000万円を贈与していた場合で考えてみましょう。この場合、1億円をベースに遺留分を計算すると、Bさんの遺留分は1億円×1/4=2,500万円ということになります。しかし、Aさんは生前に既に2,000万円を受け取っていますので、その点で不公平だと感じませんか?
この場合、相続財産の1億円に2,000万円を加えた1億2,000万円×1/4=3,000万円遺留分と考えます。こうすることで、生前贈与により遺留分を故意に減らそうということもできなくなりますので、より公平に遺留分の計算ができることになるのです。
但し、このAさんの生前贈与を加える期間というのは、亡くなられる前10年間に限定して遡ることができることになっていますので、今回のように5年前の生前贈与であれば加味されますが、10年より前の生前贈与は加えられないため、注意が必要です。

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4.おわりに

今回は、遺留分と特別受益の関係性について扱いました。少し込み入った内容でしたが、実務的には非常に重要な概念になります。
遺留分や特別受益等についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。専門の弁護士が最適な解決策をご提案いたします。相続手続きがスムーズに進むようサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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