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相続税コラム

相続税申告に必要な書類

2023.03.30

皆さんは、税金の申告をご自身でされたことはありますか。特にこれから説明する相続税申告については、専門的な知識が必要とされるため、一般的には専門家にご相談される方が多いのではないかと思います。

今回は、あえてご自身で相続税申告を行うことを念頭に、相続税申告の必要書類のうち、一部ご紹介したいと思います。

退職金に関する書類

(1)書類一覧

相続税の申告書類は、以下の通りになります。

書類名 取得できる場所 注意事項
退職手当金等受給者別支払調書 勤務先 交付されないこともある。
弔慰金・花輪代・葬祭料等の通知書や領収書 実質的に退職金にあたるものがないか確認する。
<確定給付企業年金・確定拠出年金・
企業年金連合会等>
支払通知書等
生命保険会社、信託銀行、管理運営している基金や機関等から郵送される。 在職中に亡くなった場合は勤務先の担当部署に、退職後なら取扱機関に確認する。
<小規模企業共済>支払決定通知書兼
振込通知書
独立行政法人中小企業基盤整備機構より郵送される。 個人事業主や小規模企業経営者の場合に必要。
受取人の通帳 入金確認のために必要。

 

(2)書類を集める上でのポイント

①遺族が受け取る死亡退職金に課されるのは相続税です。
在職中に亡くなり、本人の代わりに遺族が退職金等を受け取った場合、所得税ではなく相続税がかかります。その場合は、退職所得の源泉徴収票は発行されず、退職手当金等受給者別支払調書という別の書類が発行されることがあります。

②弔慰金・花輪代・葬祭料等について
原則、勤務先から受け取った弔慰金・花輪代・葬祭料等に相続税はかかりません。ただし、それらの金額が、業務上の死亡の場合は普通給与の3年分、業務上の死亡でない場合は普通給与の半年分を超えると、超えた部分の金額に相続税がかかります。念のため通知書や領収書を確認しましょう。
また、名目は弔慰金等でも、実質的には退職金として支払われた場合は、その全額が相続税の対象になりますので、ご注意ください。

③勤務先以外から死亡退職金以外の名目で支払われたお金に注意してください。
勤務先以外の機関から退職金以外の名目で遺族に支払われたお金でも、「死亡退職金」や「契約に基づかない定期金に関する権利」として、相続税の対象になるものがあります。例を以下に挙げます。

・確定給付企業年金の遺族給付金
・特定退職金共済の遺族一時金
・適格退職年金の遺族一時金
・企業年金連合会の死亡一時金
・企業型確定拠出年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)の死亡一時金
・遺族が受け取る小規模企業共済の共済金、中小企業退職金共済退職金

分からない場合は、取り扱っている機関や勤務先の総務部や人事部等に問い合わせてください。
このように、退職金以外の名目で支払われた場合も、対象になる場合がありますので、気を付けましょう。書類を見て不明点があれば勤務先等に確認することをおすすめします。

皆さんは、税金の申告をご自身でされたことはありますか。特にこれから説明する相続税申告については、専門的な知識が必要とされるため、一般的には専門家にご相談される方が多いのではないかと思います。

債務と葬式費用に関する書類

(1)必要書類
書類名 取得できる場所 注意事項
金銭消費貸借契約書
借入金の残高証明書
返済予定表 等
自宅に保管がある場合、
取得する。
所得税の青色申告決算書 事業に伴う債務がないか確認する。
賃貸借契約書 預り敷金や保証金は債務になる。
所得税の準確定申告書及び付表の控え、
納付書のコピー
控えがあれば取得する。 死亡後、相続人が支払った所得税は
債務になる。
固定資産税・住民税(市民税・県民税)の
納税通知書、領収証書等
不明な場合は、市区町村村役場や
都税事務所等へ確認する。
故人が未払だったもの。
その他の税金や社会保険料の
領収書等
電気・ガス・水道・電話代等の領収書 不明な場合は各社に確認する。 生前に故人が使い、
死亡後に相続人が支払ったもの。
クレジットカードの利用明細

 

(2)確認すべきこと
①債務に含まれるものについて

相続開始日に存在している、亡くなった方の借入金や未払金等の債務を、死亡後に相続人や包括承継者が支払った場合、その金額を支払った方の相続財産から差し引くことができます。それらに該当する債務であれば、預金口座が凍結される前に亡くなった方の口座から引き落とされた分も含めて構いません。
固定資産税と住民税については分かりにくいかもしれませんので、以下でご説明します。まず固定資産税についてです。固定資産税は、1月1日現在の所有者に1年分を課税されることになっています。次に、住民税は、1月1日の時点で住民票のある場所に1年分を納める義務があります。つまり、固定資産税も住民票も1月1日以降に亡くなった場合は、既に亡くなった方に1年分全額の納税義務が発生していることになります。そのため、死亡日には納税通知書が届いていなくても、また、納期限が死亡後でも、未払い分は全て亡くなった方の債務です。

②個人事業の債務、賃貸用不動産の預かり敷金について

亡くなった方が個人で事業を営んでいた場合、所得税の確定申告書に添付されている青色申告決算書の賃借対照表に、買掛金、未払金、借入金等の債務がないかどうかを確認してください。賃貸用の不動産をお持ちの場合、入居者から預かっている敷金や保証金は退去するときに入居者へ返金しなければならないため、債務になります。

③葬式費用に含まれるものとは

葬式費用には、通夜・葬儀・告別式の費用、お寺に支払った読経料・戒名料・お布施等、通夜や告別式の際の飲食費用、当日の参列者への会葬御礼や手伝ってくれた人への心づけ等、火葬や埋葬、納骨の費用、遺体や遺骨の運搬費用、遺体の解剖費用等が含まれます。これらの費用を相続人や包括受遺者が支払った場合、葬式費用として相続財産から差し引くことができます。
なお、後日行う初七日や四十九日等の法要にかかる費用、香典返しの費用、お墓や仏壇の購入費法等は葬式費用に含まれませんので、気を付けてください。

④領収書のない葬式費用について

支払ったという事実がある場合、領収書がなくても葬式費用に含めて構いません。支払日、支払金額、支払内容、相手の名前等のメモを作り、相続税の申告書に添付して税務署へ提出してください。

いかがでしたでしょうか。今回ご説明したものだけでも、多くの書類が必要です。相続税申告の手続きをご自身でするのは非常に労力を要しますので、今回の記事が少しでもその手助けになりましたら幸いです。
なお、上記以外の書類や手続きについては、機会がありましたら別の記事で取り扱います。

 

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