皆さんは、税金の申告をご自身でされたことはありますか。特にこれから説明する相続税申告については、専門的な知識が必要とされるため、一般的には専門家にご相談される方が多いのではないかと思います。
今回は、あえてご自身で相続税申告を行うことを念頭に、相続税申告の必要書類のうち、一部ご紹介したいと思います。
退職金に関する書類
(1)書類一覧
相続税の申告書類は、以下の通りになります。
書類名 | 取得できる場所 | 注意事項 |
---|---|---|
退職手当金等受給者別支払調書 | 勤務先 | 交付されないこともある。 |
弔慰金・花輪代・葬祭料等の通知書や領収書 | 実質的に退職金にあたるものがないか確認する。 | |
<確定給付企業年金・確定拠出年金・ 企業年金連合会等> 支払通知書等 |
生命保険会社、信託銀行、管理運営している基金や機関等から郵送される。 | 在職中に亡くなった場合は勤務先の担当部署に、退職後なら取扱機関に確認する。 |
<小規模企業共済>支払決定通知書兼 振込通知書 |
独立行政法人中小企業基盤整備機構より郵送される。 | 個人事業主や小規模企業経営者の場合に必要。 |
受取人の通帳 | 入金確認のために必要。 |
(2)書類を集める上でのポイント
①遺族が受け取る死亡退職金に課されるのは相続税です。
在職中に亡くなり、本人の代わりに遺族が退職金等を受け取った場合、所得税ではなく相続税がかかります。その場合は、退職所得の源泉徴収票は発行されず、退職手当金等受給者別支払調書という別の書類が発行されることがあります。
②弔慰金・花輪代・葬祭料等について
原則、勤務先から受け取った弔慰金・花輪代・葬祭料等に相続税はかかりません。ただし、それらの金額が、業務上の死亡の場合は普通給与の3年分、業務上の死亡でない場合は普通給与の半年分を超えると、超えた部分の金額に相続税がかかります。念のため通知書や領収書を確認しましょう。
また、名目は弔慰金等でも、実質的には退職金として支払われた場合は、その全額が相続税の対象になりますので、ご注意ください。
③勤務先以外から死亡退職金以外の名目で支払われたお金に注意してください。
勤務先以外の機関から退職金以外の名目で遺族に支払われたお金でも、「死亡退職金」や「契約に基づかない定期金に関する権利」として、相続税の対象になるものがあります。例を以下に挙げます。
・特定退職金共済の遺族一時金
・適格退職年金の遺族一時金
・企業年金連合会の死亡一時金
・企業型確定拠出年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)の死亡一時金
・遺族が受け取る小規模企業共済の共済金、中小企業退職金共済退職金
分からない場合は、取り扱っている機関や勤務先の総務部や人事部等に問い合わせてください。
このように、退職金以外の名目で支払われた場合も、対象になる場合がありますので、気を付けましょう。書類を見て不明点があれば勤務先等に確認することをおすすめします。

那珂川オフィス 所長/弁護士
後藤 祐太郎 YUTARO GOTO
那珂川市のみならず、福岡市南区・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市・鳥栖市近郊であらゆる法律問題について担当。
弁護士法人菰田総合法律事務所
福岡を拠点とした弁護士法人菰田総合法律事務所は、司法書士法人と税理士法人も有した法律事務所です。
相続相談実績は、年間680件以上を誇ります。
相続関連業務の弁護士(代理人)業務だけではなく、相続登記から相続税申告まで全てをワンストップで解決できる士業事務所のため、福岡県内だけでなく、県外からのご相談者様も多数いらっしゃいます。