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遺留分コラム

遺留分侵害額請求の効果とは?弁護士が解説

2016.12.05

今回はちょっと小難しいお話になります。「遺留分侵害額請求をすると、何が起こるの?」って話です。

遺留分侵害額請求を行った場合、請求した人はどのような権利を手に入れることができるでしょうか。請求者の取得できる権利は、平成30年の民法改正前後によって大きく異なっています。

そこで今回は、遺留分侵害額請求の効果について解説していきます。

1 改正前は現物返還が原則

平成30年の民法改正前は、請求の相手方は原則として目的物の現物を返還しなければならないとされていました。また、現物相当額による価額賠償によることも選択することができました。

しかし、目的物の一部の現物返還を請求されることで、特定の財産について請求者と相手方との間で共有状態になってしまうこともありました。例えば、不動産が共有となってしまうことで、関係が良好でない共有者間では不動産の現実の利用や管理が困難となってしまいます。また、事業用の不動産が共有となることで事業承継に不都合が生じる点でも問題となっていました。

遺留分侵害額請求という紛争に発展してしまっている当事者間で共有状態が発生するなんて、絶対にその後が上手く行かないですよね。

2 改正後は金銭債権に統一

そこで、改正後においては、現物返還の原則が変更されて、一律に遺留分侵害額に相当する金銭を支払わなければならないこととなりました。これにより、初めから金銭による支払いに統一することで、このような不都合を避けられるようになりました。

また、相手方の申し出があれば裁判所が一定の支払猶予期限を設けることもできます。

結局、改正前だったとしても、前述のとおり共有になる訳にもいかないため、価格賠償となるケースが大半でした。だったら最初からお金で解決をデフォルトにしてしまえば良いじゃないかという改正ですね。

3 遺留分侵害額の算定方法

遺留分権利者が、被相続人から取得した利益(これを純取り分額といいます)が本来最低限認められるべき相続分である遺留分額に達していない時に、その差額が遺留分侵害額となります。

ここでいう純取り分額とは、具体的相続分額に特別受益額を加えたものから相続債務負担額を控除したものをいいます。

すなわち、

遺留分侵害額=遺留分額-純取り分額(具体的相続分額+特別受益額-相続債務負担額)

となります。

遺留分額の算定方法については、別の記事にて詳しく解説しておりますので、そちらも併せてご参照ください。

まとめ

このように、遺留分侵害額請求によって請求者は遺留分侵害額に相当する金銭債権を取得できることになります。もっとも、遺留分侵害額請求には消滅時効期間があることに注意が必要です。また、複数の贈与や遺贈がある場合には、行使の順序まで決まっているため、具体的に請求することを考えている方は、これらの手続きを適切に履践する必要があります。

遺留分侵害額請求を検討されている方はお早めに弁護士にご相談することをおすすめします。

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