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遺言書作成・遺言執行者の選任

遺言で何を書いたら法的に拘束力が認められるの?

2021.01.23

遺言書とは普通、自分が残す財産をどのように相続人で分配するか、財産の分配方法を書くイメージが強いでしょう。
それ自体は間違っていないのですが、各法律で遺言書を使って記載することができる、つまり遺言書で書くことで法的拘束力が認められることが明確に定められているものを遺言事項と呼びます。
様々な法律に遺言事項が記載されているのですが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

遺言事項が何なのか知ることによって、遺言書に書いても法的拘束力の認められないものが浮き彫りになりますので、理解を深めるためにも遺言事項を1つずつ確認しておきましょう。

1 遺言事項

① 認知

子供の認知を遺言書で行うことができます。

② 遺贈

遺言書で書き遺すことで、財産を第三者へ贈与することができます。

③ 配偶者居住権を遺贈した場合の存続期間の定め

2020年4月1日施行にて配偶者居住権を遺言書で遺贈することができるようになり、その場合の配偶者居住権の存続期間を遺言書で定めることができるようになりました。

④ 未成年者の後見人指定

未成年者に親権を行う者がいない場合、未成年者後見人を選任することになっています。この未成年者後見人は、実際に親権を行う者がいなくなってから家庭裁判所に選任を申し立てた場合、全く無関係の第三者が選ばれる可能性もありますので、遺言書にて未成年者後見人になるべき人を指定しておくことが可能となっています。

⑤ 未成年者の後見監督人指定

未成年者に対して未成年者後見人が就く場合、一定の場合には未成年者後見監督人が選任されるケースもあります。これは、未成年者の財産が多額な場合や親族間の利害対立が激しい場合等、未成年者後見人のみでは不安なケースの場合になります。
未成年者後見人に専門家として弁護士等が就任した場合には、わざわざ未成年者後見監督人まで選任されるケースは稀ですが、未成年者後見人が親族の場合には、法律の専門家として弁護士等が未成年者後見監督人に選任されることが多いものです。

⑥ 相続人廃除と廃除の取消し

被相続人に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行などを原因として、相続人を廃除することができます。
廃除されると、相続人としての権利を失うため、相続人ではなくなってしまいます。この廃除や廃除の取消しを生前に行うのではなく、遺言書に書き遺すことによって行うことも可能なのです。

⑦ 相続分の指定や指定の委託

具体的な相続分のみを指定したり、その指定を誰かに委託したりすることが遺言書では可能になっています。つまり、特定の財産について承継方法を決めるのではなく、承継される割合を定める形で相続分のみを指定する形です。

⑧ 遺産分割方法の指定や指定の委託

こちらは特定の財産の承継を決めておく、通常イメージする遺言書の内容になります。

⑨ 遺産分割の禁止

遺言書に記載することで、相続開始から5年間に限って、遺産分割を行うこと自体を禁止することが可能です。

⑩ 相続人の担保責任

相続人は他の相続人に対して、担保責任を負うことになっています。つまり、万が一取得した遺産に瑕疵があった場合等は、他の相続人がその分を補償することになります。この相続人の担保責任を適用しないこととしたり、期間を変更したりなど、何らか指定をする場合は遺言書に記載することになります。

⑪ 遺言執行者の指定、指定の委託

遺言書にて遺言執行者を指定したり、その指定を委託したりできます。

⑫ 祭祀主宰者の指定

祭祀主宰者を遺言書で指定することができます。この祭祀主宰者とは、通常の遺産ではなく、系譜(家系図等)・祭具(位牌や仏壇、神棚等)・墳墓(墓石や墓碑等)の祭祀財産を承継する権利を持つ者のことを言います。
この祭祀主宰者は、遺言書などで指定しない場合、地域の慣習等で決まりますが、それでも決まらない場合には家庭裁判所で決めることになります。

⑬ 持戻免除

生前贈与があった場合、その生前贈与された分を特別受益として遺産分割で考慮することになります。つまり、生前にたくさん財産をもらった人は、その分遺産分割の際もらえる分が少なくなるので、最終的にトータルで相続を公平に保ちましょうという制度です。
この特別受益の分を加味することを持戻しと呼びます。この持戻しを免除し、生前贈与分を考慮しない遺産分割を行わせることも可能であり、それを遺言書に書いて行う事を持戻し免除と呼びます。
これを遺言書に書くことで、持戻しを免除して、特定の相続人に対して行った生前贈与をそのまま調整することなく遺産分割を行うことができるようになるのです。

⑭ 信託の設定

信託は通常、信託契約を締結することで設定しますが、遺言書で信託を設定することも可能です。信託銀行等が行っている遺言信託とは別のもので、これは信託銀行等が設定している商品名でしかありませんので、誤解のないようにされてください。

⑮ 保険金受取人の変更

生命保険金の受取人を遺言書で変更することも可能です。ただ、遺言書で受取人を変更するとなると、通常は、保険会社は遺言書の内容を知りませんので、知らないまま従来の受取人に支払いを済ませてしまうケースが多発します。問題が生じる可能性が高いので、出来る限り生前のうちに受取人を変更しておきたいところですね。

⑯ 一般財団法人の設立

遺言書で一般財団法人を設立することを定め、その定款の内容まで遺言書に記載することで、後に遺言執行者が実際に定款を作成して一般財団法人設立することが可能になります。

2 まとめ

以上の通り、遺言書で定めることで法的拘束力が生じる遺言事項は様々なものがありますまるこれの裏返しとして、この遺言事項に該当しないものについては、 遺言書に定めたとしても法的な拘束力はなく、単なる付言事項として扱われることになりますので、何が遺言事項に該当するのか確認しながら遺言書を作成するよう心がけましょう。

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