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遺言書作成・遺言執行者の選任

遺留分を侵害しない遺言書を書くにはどうすれば良い?

2021.01.25

遺言書を書くためのご相談に来られる方の多くが気にすることが、遺留分を侵害しないかどうかです。
多くのご相談者は、特定の相続人に対して多めに財産を残したいと考えており、それに伴って他の相続人の遺留分を侵害してしまっては、遺留分侵害請求が発生してしまうことを知っていますので、なんとか遺留分を侵害しない範囲で遺言書を作成したいとのご要望が極めて多いものです。

しかし、遺言書を書く時点では実際に亡くなる時にどの程度の財産を保有し続けているかわからず、現実的にどの程度遺留分を侵害するのか将来の話は分かりませんから、どのような遺言書の内容にするか決めかねる方が多数いらっしゃいます。

では、そのような場合どのような遺言書の記載をすれば良いのでしょうか?

1遺留分とは?

そもそも遺留分とは、遺言書をもってしても奪えない最低限の相続分のことを指します。例えば、「長男に全て相続させる」との遺言書を残した場合、その他の相続人は一切もらえないことになりますので、完全に不公平な相続内容になってしまいますね。
これを防止するために法律は遺留分を定めています。

この遺留文は、法定相続分の半分ですので、長男・次男が相続人のケースにおいては、それぞれの相続分が1/2ずつですから、それぞれの遺留分は1/4ずつになります。
もしも「長男に全て相続させる」その遺言書があったとすれば、次男は何ももらえなくなりますが、遺留分として1/4は確保されることになります。
これを長男に対して次男が請求する権利を遺留分侵害請求と呼ぶのです。

2遺留分を侵害すると紛争化する?

遺留分を侵害するような遺言書を残した場合、本当に紛争になるのでしょうか?
実際に遺言書を残されたケースで、それが偏った内容となっており遺留分を侵害するようなケースでは、結構な確率で遺留分侵害請求として紛争化するものです。

一昔前ならいざ知らず、現代社会においてはWebの発達により、誰でもすぐに一定の法律知識を手に入れることができます。
このような現代社会においては、自分にとって不都合なことが発生した場合、まずはそれがどうにかならないか調べてみるものです。そして、ある程度の典型事例であれば、Web上で探すことで当てはまるケースは多数見つかるでしょう。

このように弁護士に相談など行かなくても、一定の法律知識を得ることによって、自分の置かれている立場で何らかの請求ができることがわかる時代になってきましたので、弁護士にご相談に来られる方もそれなりに調べた上で知識を持っていらっしゃいます。

そうなると、やはり権利意識は強くなるものであり、前提として不公平な遺言書が存在した上での権利主張ですので、その権利を主張することを妨げるものもなく、結構な確率で遺留分侵害請求に発展します。

3どのように記載すれば良い?

では、遺留分を侵害しないように遺言書を作るにはどのような点に配慮すれば良いでしょう?
この時最も困ることが、遺言書を作る時点とお亡くなりになる時点で持っている財産の額が変わる点です。
遺言書を作る時よりも財産が増えている方もいらっしゃれば、減っている方もいらっしゃいます。また、そもそも何歳でお亡くなりになるのかも分かっていません。
そうなると、遺言書を作る時点で、お亡くなりになる時点での遺留分額のシミュレーションすることは不可能であり、あくまで根拠のない予測を立てるしかありません。

しかし、それでは現実の遺留分額と比べて多かったり少なかったりするのが当然でしょう。
単に紛争化しないために遺留分を侵害しないことだけを目的とすれば、なるべく多めに配分しておいて、財産額がどのように変動しようが間違いなく遺留分を侵害しないだけの分け方を考えれば良いのですが、それでは特定の相続人に多く残したいというニーズを満たすことができません。

では、遺留分割合と同じ割合を定めて記載しておけばいかがでしょうか?
確かに、前述の例であれば「長男に3/4、次男に1/4を相続させる」と記載しておけば遺留分を侵害することにはなりません。
しかし、このように割合で定めると、流動資産はそれで問題ありませんが、不動産などについてもその割合で分割されてしまいます。共有不動産を作ってしまうことは望むことではないでしょうから、やはり適切な解決にはなりませんね。

4具体的記載

そこで、「次男には、遺産総額の4分の1相当額を預貯金から相続させることとし、長男にはその余を相続させる。」などと記載しておきます。

ただし、これも遺産総額の4分の1相当額について、預貯金の残高が足りることが前提となっていますので、完璧ではありませんが、このような柔軟な記載をするようにしましょう。

5まとめ

以上の通り、遺留分を侵害しないように遺言書を作成することは結構困難であり、遺言書のみで対応しようとすると限界があります。
最終的には遺留分を侵害してしまう可能性も考慮した上で、その時のために遺留分を支払う原資として生命保険を活用しておくことなども有効かと思います。

遺留分を侵害しないような遺言書を作成したい場合は、財産の評価方法などについて専門知識が必要ですので、相続に詳しい専門家に是非相談されてみてください。

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