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相続法改正による遺言執行者の権限の明確化④改正後、遺言執行者の権限はどうなる?その3・まとめ

2020.05.12
遺言執行者の復任権
改正民法 1016条(遺言執行者の復任権)
遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

旧民法において、遺言執行者は、「遺言者がその遺言に反対の意思を表示した場合を除き、やむを得ない事情がなければ第三者にその任務を行わせることができない」と定められていました(旧民法1016条)。

しかし、遺言執行者として指定された者が、遺言執行を滞りなく遂行できるだけの十分な知識を持っていない場合、適切に遺言を執行することが困難な場合があります。また、遺言執行者として相続人が指定された場合、遺言の内容によっては他の相続人と対立する関係になることがあるため、遺言執行者として適任ではないと考えられる場合もあります。

このような場合、遺言者が指定した遺言執行者よりも、弁護士や司法書士等の専門家や、利害関係のない第三者を遺言執行者として復任した方が適切ではないかとの指摘がなされてきました。

そこで、本改正においては、遺言執行者の復任権の要件を緩和し、遺言執行者はやむを得ない事由がなくても復代理人を選任することができるようになりました。

遺言執行者が復代理人を選任する場合、「自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる」とある通り、復代理人の執行により生じた損害については遺言執行者自らが責任を負うこととなります。

しかし、復代理人を選任するやむを得ない事由があるときは、その選任及び監督についての責任のみを負うとされ、復代理人の選任及び監督を怠った場合に復代理人の行為から生じた損害についての責任を負えばよいこととされました。

<まとめ>

この記事では、相続法改正によって明確化された遺言執行者の権限について詳しくご紹介しました。本改正の重要なポイントは下記のとおりです。

  • 遺言執行者は遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
  • 遺言執行者はその任務を開始したとき、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
  • 特定の財産を相続させる旨の遺言があった場合でも、不動産登記・預貯金の解約等の必要な手続きを行う権限が遺言執行者に与えられる。

本改正によって、遺言執行者と相続人との遺言執行に関するトラブルや紛争の発生を防止し、より円滑な遺言執行が可能になることが期待されています。

遺言者の意志や遺言の内容を実現するため、今後はこれまで以上に遺言執行者を選任するケースが増加されるものと期待されますが、本改正による遺言執行者の権限の明確化を踏まえた上で、遺言執行者として適任の人物を選任することが必要です。

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