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遺産相続コラム

相続人の中に認知症の人がいる場合ってどうしたらいいの?

2024.06.27

監修 國丸知宏弁護士

はじめに

日本では少子高齢化が進む中、認知症を患う高齢者の数が急増しています。
2012年時点で約462万人の65歳以上の高齢者が認知症を患っており、2025年には高齢者の4人に1人が認知症になると予測されています。このような背景の中で、相続の問題が生じた際に相続人の中に認知症の方がいる場合、その対応が非常に重要になります。本記事では、認知症の相続人に対する適切な法的支援としての「成年後見制度」について詳しく解説し、その重要性についてご説明します。

1.相続人の中に認知症の方がいる場合

相続の場面で、相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割協議や相続手続きがスムーズに進まないことがあります。認知症の方が被相続人の死亡を認識できないほど症状が重いケースもありますが、その方が相続人であることに変わりはないため、認知症の方を遺産分割協議から除外することはできません。そのため、認知症の相続人以外の相続人だけで行った遺産分割協議書は無効となります。

このような場合、認知症の相続人を含めて適切に遺産分割を行うには、「成年後見制度」を利用することが必要です。成年後見制度を利用することで、認知症の相続人の代理人を立て、円滑な相続手続きを実現することが可能となります。

老人の手を握る手

2.「成年後見制度」とは

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力を殆ど欠いている状態にある方々を法的に支援するための制度です。同制度は、本人の財産管理や身上監護を行う「成年後見人」を選任することにより、本人の権利と利益を保護することを目的としています。成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があります。

①法定後見

法定後見は、家庭裁判所の審判により選任される後見制度です。対象者の判断能力に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3種類に分かれ、それぞれの支援内容が異なります。特に「後見」は、判断能力が殆ど認められない方を対象にし、全面的な支援を行います。任意後見の場合と異なり,後見人は裁判所が選任するため、必ずしも自分の希望通りの後見人が就くとは限りません。

②任意後見

任意後見は、将来の判断能力の低下に備えて、あらかじめ自分の信頼する人物を後見人として指定する制度です。任意後見契約を結ぶことにより、自分の意思を反映した支援を受けることができます。

3.後見人の業務とは

成年後見人の主な業務には、以下のようなものがあります。

財産管理

成年後見人は、対象者の財産を適切に管理し、その利用方法を決定します。これには、不動産や預貯金、株式などの資産の管理、日常生活に必要な費用の支出、医療費や介護費用の支払いなどが含まれます。財産管理は、対象者の生活の質を維持し、無駄遣いや詐欺から守るために重要な役割を果たします。

身上監護

身上監護とは、対象者の生活全般にわたる支援を行うことです。具体的には、住居の確保や介護サービスの利用、医療機関との連携、日常生活のサポートなどが挙げられます。身上監護により、対象者が安心して生活できる環境を整えることができます。

法的手続きの代理

成年後見人は、対象者に代わって法的手続きを行う権限を持っています。これには、契約の締結や解約、不動産の売買、遺産分割協議などが含まれます。成年後見人が法的手続を代理することで、認知症の方が不利益を被ることなく、円滑に相続手続きを進めることが可能となります。

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4.おわりに

相続人の中に認知症の方がいる場合、適切な法的支援を受けることが不可欠です。成年後見制度を利用することで、認知症の方の権利を保護し、円滑な相続手続きを実現することができます。相続に関する問題や成年後見制度についてご不明な点がございましたら、ぜひ当弁護士事務所にご相談ください。専門の弁護士が親身になって対応し、最適な解決策をご提案いたします。相続手続きがスムーズに進むよう、全力でサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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