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寄与分

特別寄与制度①

2022.12.20

はじめに

これまでどれだけ被相続人のために尽くしても、相続人ではないという理由で相続財産を貰うことが出来なかった方々が、法改正により財産を貰うことが出来るようになりました。
今回、法改正により新しくできた特別寄与料の制度について解説いたします。

法改正前

まず、法改正前は「相続人が」亡くなった方の家業を無給で手伝っていた、経済的支援をして財産の維持や増加に貢献した、介護をしていた場合等に、(細かい条件はありますが)他の相続人よりも相続財産を多く貰うことが出来ました。
特別寄与について
ただ、その場合、例えば亡くなった方の長男の奥さんが懸命に義母の介護をしたとしても、相続人ではないという理由で財産をもうことが出来ないという不合理な事態が発生していました。

法改正の内容

そこで、民法の法改正があり、令和元年7月1日以後開始の相続について、民法第1050条の特別寄与料の制度が出来ました。
相続人以外の方でも亡くなった方に特別な貢献をした方は、相続人に対して特別寄与料の請求ができるようになりました。
ただ、特別な貢献をした方が誰でも特別寄与料を請求できる訳ではなく、亡くなった方の親族である必要があります。
この親族とは、亡くなった方の配偶者、6親等以内の血族、3親等以内の姻族となり、それ以外の方は内縁の妻や夫であっても対象外となります。

このうち、分かりづらいのが3親等以内の姻族となりますが、これは亡くなった方の姻族だけでなく、例えば亡くなった方のお子さんの奥さんは1親等の姻族となり、亡くなった方の兄弟の奥さんは2親等の姻族となります。
ここは非常に複雑であるため、亡くなった方と血のつながりが無い方は、ご自身が3親等以内の姻族に該当するか専門家である弁護士に相談することをお勧めいたします。

民法第1050条

1 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

 

療養監護などの労務の提供

上記相続人以外の親族であることを前提に、亡くなった方に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をする必要があります。

特別寄与について

この「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」については、改めて別の記事でご説明いたしますが、ポイントは「無償」である必要があり、特別寄与分の請求をするためには、まずは相続人に対して請求をして協議がまとまらない場合には、亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所に対して協議に代わる処分の申立てを行うことになります。

なお、家庭裁判所の協議に代わる処分の請求については、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月を経過する前及び相続開始の時から1年を経過する前にする必要があり、期間制限には充分に気を付ける必要があります。

まとめ

以上のとおり、今回は、民法改正により新しく新設された特別寄与料の制度について解説させていただきました。

特別寄与料の請求には短い時間的制限がありますので、ご自身が特別寄与料を請求できる親族にあたるのか、あたるとして特別寄与料をいくら請求できるのか、ケースバイケースで複雑な内容になりますので、相続に詳しい弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

続きはこちらから:特別寄与制度②

 

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記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。

 

弁護士法人菰田総合法律事務所

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