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特別寄与制度②

2023.01.13

遺産相続コラム 相続に関するコラムをKOMODA LAW OFFICEの弁護士が執筆

はじめに

前回、民法の法改正により、新たに特別寄与料請求の制度が新設され、これまでどれだけ被相続人のために尽くしても、相続人ではないという理由で相続財産を貰うことが出来なかった方々が財産を貰うことが出来るようになったことについて、解説しました。
前回の記事はこちら:特別寄与制度
今回は、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした」のうち、亡くなった方の介護をしていた場合に、いくらぐらい請求できるのかの目安について解説します。

無償の労務の提供

「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」のポイントは、まず「無償」という要件があることです。
特別寄与
つまり、原則として、謝礼金も含めて何ら対価を受け取ることなく、介護をしたり事業の手伝いをしたり等している必要があります。
ただ、少しでもお金を貰っていれば「無償」ではないとなるかと言いますと、ケースバイケースの判断で「無償」と判断されるケースもありますので、詳細は専門家である弁護士に相談をおすすめします。

なお、ここでは亡くなった方と一緒に住んで、介護をする代わりに生活費全般を負担してもらっているときも「無償」ではないことになります。

より具体的にご説明しますと、同居の有無、同居に至る経緯、及び同居期間中の生活費の負担割合によって判断されることになり、同居する必要がないものの介護のためにやむなく同居した場合には当然に「無償」といえますが、完全に生活費全般を頼っている場合には「無償」とはいえない、生活費の一部を差し入れている場合にはケースバイケースの判断になります。

なお、「療養看護について特別の寄与」という部分について、まず原則として要介護2以上である必要があります。
ただ、認知症の場合には、要介護1の場合でも、徘徊行為等の見守りが必要な時などは例外的に認められることもあります。

そして、亡くなった方が入院している場合には、一般的に、病院等において、その施設の看護師又は看護補助者等による十分な看護が行われており、入院中の家族等の付添が基本的には必要がない状態である「完全看護体制」となっておりますので、お見舞いや洗濯等の行為を行っていたとしても「特別の寄与」には該当しないことになります。

また、介護サービスを受けている場合には、その時間帯は「特別の寄与」に該当しないですし、要介護2でデイサービスを利用しているような場合には、日中の大部分の介護は施設で行われており、自宅で過ごす時間に介護をしたとしても、「特別の寄与」には該当せず、デイサービス利用日について認められることは殆どありません。

民法第1050条

1 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

3 前項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に第九百条から第九百二条までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する。

 

具体的な計算方法について

特別な寄与に値する「療養看護」を行っていた場合、すなわち原則として要介護2以上の亡くなった方を介護していた場合には、その介護日数に介護報酬基準額を掛けてそれに裁量割合を掛けて具体的な寄与料が算出されることになります。

特別寄与

この介護日数には上記のとおり、要介護2の場合にはデイサービスを利用した日は含まれせんが、要介護5とかにまでなりますと、デイサービスを利用した日も介護日数に含まることもあり、ケースバイケースの判断になってきます。
そのようなケースバイケースの判断のために裁判所の裁量割合が使われることになりますが、一般的には裁量割合について過去の裁判例上0.7と判断されるケースが多いです。

なお、介護報酬基準額は、要介護状態に応じて約6500円~8500円ぐらいとされており、最終的には、「介護日数」×「要介護状態に応じた介護報酬基準額」×「裁量割合(通常0.7)」にて算出された金額が特別寄与料として請求できる金額となります。

まとめ

以上のとおり、今回は、民法改正により新しく新設された特別寄与料の制度のうち、亡くなった方の介護をしていた場合に特別寄与と認められる要件、特別寄与料の計算方法、及びその金額の目安について解説させていただきました。

特別寄与に該当するか、そしていくら特別寄与料として請求できるのかは、ケースバイケースで複雑な内容になりますので、相続に詳しい弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

 

 

弁護士:川畑 貴史執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
川畑 貴史 TAKASHI KAWABATA
得意分野は相続、刑事、企業法務問題。
座右の銘は『急がば回れ』

 

弁護士法人菰田総合法律事務所

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