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終活

相続人がいない場合の相続財産①

2023.01.30

はじめに

近年、独居老人が増加傾向にあり、また、生涯未婚率上昇の影響も受け、死後、財産を受け渡す相手がいない方が増加しつつあり、令和元年には、総額603億円もの遺産が国庫に納付されていると最高裁への取材により明らかになりました。
では、その総額603億円もの遺産はどのようにして国庫へ納付されたのでしょう?
こちらの記事では、「相続人がいない場合の相続財産が国庫に納付されるまで」について詳しくご紹介していきます。

相続人がいない場合

相続財産が国庫に納付されるまでの流れ

①相続財産管理人の選任

被相続人の死後、残された財産はあるが、相続人の存在が明らかでない場合、それら財産は法に則り、整理・精算する必要があります。
このような場合、相続財産は自動的に相続財産法人として法人化され、利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が、相続財産法人を整理・清算する者を選任します。
この選任された者を「相続財産管理人」といいます。

②相続人の捜索

相続財産管理人の選任が公告された後、一定期間を設け、公告等相続人の捜索の為の手続きが取られます。
この際、万が一相続人が現れた場合、財産は相続人が相続することとなります。

③相続財産の精算

相続財産管理人による相続財産の清算の方法は、以下の通りです。

⑴債権申出の公告・催告

まず、相続債権者及び受遺者に対して、相続債権又は遺贈義務の履行の請求の申出をすべきといった内容の公告を行います。
また、相続財産管理人が相続債権者又は受遺者を知ることのできた場合、相続財産管理人は、それぞれに上記申出の催告をする必要があります。

⑵申告債権者・相続財産管理人に知れている債権者への弁済

公告期間内に申出を行った相続債権者又は受遺者、並びに相続財産管理人が知ることのできた相続債権者及び受遺者に対しては弁済を行わなければなりません。

⑶未申告・相続財産管理人に知られなかった債権者への残余財産の弁済

未申告の相続債権者・受遺者、相続財産管理人に知られなかった相続債権者・受遺者であっても、弁済後、残余財産がある場合には、そこから弁済を受けることが可能です。

相続人がいない場合

④相続人の存在が明らかになった場合

相続財産管理人が選任されている場合であっても、相続人の存在が明らかになった場合は、相続財産法人は当初から成立しなかったものとみなされ、現れた相続人が財産の相続をします。
しかしながら、相続財産管理人が権限内でなした行為については、無効にはなりません。

さいごに

今回は、相続人がいない場合に相続財産がどのようになるのか、国庫に納付された場合の流れを説明しました。
相続人がいない場合はすぐ国庫へ納付されるわけではなく、相続財産管理人の選任や相続人の捜索や債権申出の公告・催告などが行われます。
次回は、今回のおさらいや全体の流れについて、引き続きお伝えいたします。
 

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