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遺産相続コラム

19 遺言(8)遺言の方式⑦

2016.12.12

特別方式遺言という遺言をご存知でしょうか?

病気や怪我等によって正式な遺言書の作成が困難な場合に特別に認められる遺言を、特別方式遺言といいます。

通常であればあまり馴染みのないものではありますが、もしもの時に必要となる可能性は否定できないので、知っておいて損はありません。

そこで、今回は特別方式遺言についてお話ししていきます。

遺言の種類

特別方式遺言は、「一般危急時遺言」「難船危急時遺言」「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」の4種類に分けられます。

(1) 一般危急時遺言

一般危急時遺言とは、病気や怪我によって死期が迫っている場合に作成する遺言のことをいいます。

この遺言の成立には、3人以上の証人の立会い及び証人全員の署名・押印が必要となります。

また、緊急性が高い状況下にあるために、本人が口頭で伝えた内容を証人のうちの1人が代筆することもできます。

また、相続開始後は、家庭裁判所に検認を申し立てる必要があります。

特別方式遺言の中でも、唯一現実的に使われるケースが稀にあるものです。当事務所でも過去に、死期が迫っていて、もってあと数日という方の一般危急時遺言を作成したことが数度あります。

遺言書代理作成

(2) 難船危急時遺言

難船危急時遺言とは、飛行機や船などに乗っている際に危難に遭って死期が迫っている場合に作成する遺言のことをいいます。

この遺言の成立には、2人以上の証人の立会い及び証人全員による署名・押印が必要となります。

また、一般危急時遺言と同様に緊急性が高いことから、証人の1人による代筆が可能です。

同様に、相続開始後は家庭裁判所に検認を申し立てる必要があります。

(3) 一般隔絶地遺言

一般隔絶地遺言とは、伝染病のため隔離された者など、一般社会との交通が事実上または法律上自由になしえない場所にいる者が用いることのできる遺言のことをいいます。

別名、伝染病隔離者遺言ともいわれています。

この遺言の成立には、警察官1人及び証人1人以上の立会いに加え、遺言者及びこれらの者の署名・押印が必要となります。

しかし、危急時遺言とは異なり、証人等による代筆は許されず、遺言者本人によって作成しなければならない点に注意が必要です。

 その代わり、裁判所の検認は不要となります。

(4) 船舶隔絶地遺言

船舶隔絶地遺言とは、船舶中にいる者が用いることのできる遺言のことをいいます。

この遺言の成立には、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いに加え、遺言者及びこれらの者の署名・押印が必要となります。

また、遺言者本人による作成が必要な点と、検認が不要な点は一般隔絶地遺言と同様です。

また、これらの特別遺言方式による遺言の効力については、遺言者が普通の方式の遺言をできるようになった時点から6ヶ月生存した場合には、その遺言の効力は失われます。

以上の通り、特別方式遺言を利用できるのはごく限られた状況下のみとなります。

通常の遺言については、専門家を介して準備することができますので、当事務所までお気軽にご相談ください。初回相談は無料にて対応させていただいております。
 

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監修 菰田泰隆

KOMODA LAW OFFICE(弁護士法人菰田総合法律事務所)

福岡市、福岡県内全域を中心に、全国からご相談をお受けしております。
弁護士の他に税理士・司法書士が在籍しており、相続関連業務の弁護士(代理人)業務だけではなく、相続手続から相続登記、相続税申告まで全てを解決できる相続特化の総合法律事務所です。
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