registry登記

相続登記の義務化

2022.03.02

 

「相続」で問題になることの1つとして、「亡くなった方の名義のままの不動産が残ってしまっている」という悩みを抱えておられる方がよくおられます。
亡くなられた時にすぐに変更の手続きをしておけば良かったのですが、何をしたらいいのかが分からない、面倒そうだから後回しになってそのままに…というケースです。

登記を変更しないとどうなるか、ご存知でしょうか。
実は、この問題には最近の法改正が深くかかわっているのです。
今回は、相続の際に名義変更をしないとどうなるのかについて、「相続登記の義務化」というテーマを扱っていきたいと思います。

ご相談事例

 

本日ご相談に来られたK(敬称略)は、不動産でお悩みのようです。

Kは、先月父が80歳で亡くなり、妹と2人で父の遺産分けについて話合いをしているそうです。
今回、父は急病で亡くなられたとのことですが、父は8年前にKの母を亡くして以降、1人で身のまわりのことをされていたとのことでした。

財産の管理は全て自分でしていたとのことで、Kも妹も特に父の財産管理について把握していなかったそうです。

今回の父の急死に際して、Kと妹は、父の財産として何が残っているかについて、全く把握していませんでした。
そこで、父の財産を調査したところ、実は、40年前に亡くなった父の母、つまり祖母の名義の土地が残っていることが分かったのです。

Kは、この土地も、今回の遺産分割協議の中で話し合わなければならないのか、それともこのまま登記を祖母の名義のままにしておいてもいいのか、悩まれているとのことでした。

・被相続人…父

<相続人 2名>
・K(ご相談者様)
・妹

・Kの母(1年前に死亡)
・Kの祖母(40年前に死亡)

<ご相談内容>
・40年前に亡くなった祖母の名義の土地の遺産分割について

問題の背景と登記に関する法律の改正

Kのように、ご先祖の登記をそのままにしているご家族は少なくありません。
なぜでしょうか。

理由としては、相続とそれ以外の場合(売買等)とで、登記移転の必要性に差があることが挙げられます。

売買の場合、他人との間で売買が行われることが多いため、必ずと行っていいほど登記の移転が行われます。
登記を移さないと、せっかくお金を払って他人から土地を買ったのに、土地の名義が自分に移ったことを買主が証明できないからです。

問題の背景と登記に関する法律の改正

他方、相続の場合はどうでしょうか。
相続というのは親族間で起こりますが、最初から仲の悪い親族ならまだしも、仲の良い親族の間では、わざわざ費用を払ってまで登記を移す必要はなく、そのまま土地の名義人の子孫の誰かがそこに住み続けても誰も文句は言わないため、登記を移さなくても実際上の支障はありません。

しかし、都市部への人口流入や全国的な高齢化の進展などにより、地方を中心に土地の所有意識が薄まり、土地を利用したいというニーズも低下しました。
これに伴い、それまで土地を利用してきた人が、土地を売却したいと考えるようになってきます。

売買の際には、買主に登記を移転するのが通常ですから、その前提として、売買の時点で売主に登記がないといけません。

しかし、これまで名義変更について意識してこられなかったご家族ですと、いざ売ろうとしたときに、売主に登記がなく、売主の先代以上も前の先祖が登記を有しているということがそこで初めて分かって困るということが増えてきたのです。

しかも、この状態から売主に登記を移すには、通常よりもかなり手間がかかることが多いです。

どういうことかというと、登記を移すには、その時点での登記名義人の全相続人が参加した上で「遺産分割協議」を行わなければならないのですが、数世代前の登記のままになっているとなると、相続人が何十人に膨れ上がってしまっていることも珍しくなく、全員と連絡を取るだけでも大変なのです。

相続登記の義務化

また、現在空き家が問題となっていることは皆さんもご存知かと思います。
空き家があるという連絡を住民から受けた際に、役所がいざ登記を確認するとかなり昔の時代の登記のままになっていて、今現在亡くなっているかどうかさえ分からないため、まずは戸籍から生死の確認をするところから必要でした。

しかも、その結果亡くなっていることが分かったとして、その相続人の方と連絡をしようと試みても連絡が取れず、何ら対策が打てない、という事例も増えてきました。

そこで令和3年4月に、このような問題を解消すべく、不動産登記に関する法律などのいくつかの法律が改正されたのです。

改正の概要

それではどのような改正がなされたのでしょうか。

 

①相続登記の義務化
まず、不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に、相続登記の申請をすることが義務付けられました。
また、正当な理由がなく期間内の申請が漏れた場合の、過料の罰則も設けられました。
義務となりしかも過料まであるのですから、やらなければ過料を科せられるかもしれない、と考えて、登記をするようになる、というわけです。

②死亡した旨の表示
次に、法務局の登記官が、住基ネット等から登記名義人の死亡の有無を確認し、登記官の判断で(相続人からの申請無しで)、死亡した事実を登記上に表示できるようになりました。

③法定相続分による登記
加えて、亡くなられてから10年が経過した場合には、遺産分割協議がまだ行われていない場合でも、法定相続分で登記ができるという制度が新設されました。
これにより、10年たつと画一的に法定相続分で登記がされてしまうことになるわけですから、不動産を取得したい相続人については、積極的に他の相続人に対して遺産分割協議をしようと持ち掛ける動機が出てくるため、登記が放置されなくなるというわけです。

適用の時期

具体的な改正内容によって例外はありますが、原則として今後約2年以内、相続登記の申請義務化に関する点は約3年以内と定められています。

まとめ

先ほどのKは、ご家族と話合いをされて、祖母の土地は売却して、売却代金を祖母の法定相続分に従って分配することになり、スムーズに話がまとまりました。
しかし実際はこのように支障なく協議がまとまることは必ずしも多くありません。

もし現在、亡くなられたご先祖様のままで名義変えないままになっている土地をお持ちの方がおられたら、今後は注意が必要です。
もしご不安であれば、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

 

弁護士 國丸知宏 執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
國丸 知宏 TOMOHIRO KUNIMARU
得意分野は相続問題。
相続LOUNGEの動画セミナーで講師も務める。

予約専用
ダイヤル

0120-755-681

Web予約

初回相談無料
遠方対応可能 Zoom等で対応可能です