registry登記

売れない不動産がある場合

2022.11.09

遺産相続コラム 相続に関するコラムをKOMODA LAW OFFICEの弁護士が執筆

ご相談内容

今回は、実際のご相談例をもとに、売れない不動産がある場合の手続きについてご紹介いたします。
50代のAさんがご相談に来られました。

Aさんの父は5年前に亡くなり、その時は母が全て相続しました。
先月、母が亡くなったため、一人息子のAさんが唯一の相続人として、相続手続を行わなければなりません。

【Aさんのご相談内容】
うちは代々地元で農業をやっていて、両親も農業をしてきました。
私は大学進学を機に上京して、今も東京で会社員をしています。
妻と子どもと一緒に、都内に購入したマンションで生活していますので、今後も地元に戻る予定はありません。
母の財産は預貯金、実家の不動産(土地建物)と、田畑でして…。
不動産は売却できるものならしたいのですが、どうしたら良いかと思っています。

このように、預貯金等があるゆえに相続放棄は希望されないものの、不要な不動産の扱いに困っている、というご相談はよく見られます。
不動産については、何ら手続きをされていないという方も少なくありません。
しかし、固定資産税の負担の必要がありますし、ご自身に相続が発生した際にはお子様など次の世代が同じ悩みに直面することになりますので、問題は早く解決しておくべきです。
不動産の中でも、田畑は売却しにくい代表的なものと言えるでしょう。
今回は、まず農地を手放す方法についてご説明します。

農地を手放すには?

不動産を取得すると、法務局での相続登記が必要です。
相続登記に加え、農地を相続した場合には、被相続人の死亡から10か月以内に「農業委員会への相続届出」をすることが義務付けられています。
ご自身が農業をしないため、農地の扱いに困っているという場合、農業委員会に相談すると、農地の借り手を探す手伝いをしてくれることもあります。

では、借り手を探すのではなく、農地を売却したいという場合はどうしたら良いでしょうか。

1つは、農地のまま売却するという方法があります。
ただし、売却には農業委員会(あるいは都道府県知事)の許可が必要です。
売却先が農業従事者(その中でも更に条件があります。)でなければ許可は得られず、売却できません。

2つは、農地以外にして売却するという方法があります。。
農地を宅地等に用途変更することを、農地の「転用」といいます。
農地だと売却しにくいですが、宅地に転用できれば、通常の不動産と同様に売却手続を進めることができます。

ただし、転用にも農業委員会の許可が必要となり、区分によって許可取得の難易度が異なります。
これをまとめたものが以下の表です。

農地区分 内容 許可
農用地区域内農地 市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地 不許可
甲種農地 市街化調整区域内の
・農業公共投資後8年以内農地
・集団農地で高性能農業機械での営農可能農地
不許可
第1種農地 ・集団農地(10ha以上)
・農業公共投資対象農地
・生産力の高い農地
不許可
第2種農地 ・農業公共投資の対象となっていない小集団の生産力の低い農地
・市街地として発展する可能性のある区域内の農地
一部許可
第3種農地 ・都市的整備がされた区域内の農地
・市街地にある区域内の農地
許可

あくまでもこの表は原則ですので、「不許可」となっていても許可が得られる場合もありますが、現実的にはかなり困難といえます。
また、転用許可が得られても農地を宅地に転用するには、宅地造成費用等がかかります。

費用をかけて転用しても、高い金額で売却できない可能性もあるため、売却の見込みについては慎重に検討しなければなりません。
Aさんが相続した農地は「農用地区域内農地」で、転用許可を得られる見込みはありませんでした。

しかし、幸いなことにAさんの遠い親戚が農業を営んでおり、農地の取得を希望してくれました。
そこで、農業委員会の許可を得て、Aさんは無事農地を親戚に売却することができました。

袋地の扱い

Aさんは、実家の不動産についても心配していました。

【Aさんの心配事】
実家の建物はかなり古く、資産価値がないことは分かっていました。
私としては、土地は売れるだろうと思っていたのですが、不動産会社に査定をお願いしたところ、道路に接していないから再建築不可で、このような土地は売れないとのことでした。
売却する方法はないのでしょうか?

Aさんの実家の土地は、以下のようになっていました。
袋地

このように、他人の土地などに囲まれ、道路と接していない土地を「袋地」といいます。
建築基準法上、道路に接していない土地に建物を建築することはできないとされています。

つまり、Aさんの実家は古い建物を取り壊した後、新しく建物を建築できないという状態になっていました。
これでは、買い手がつかないか、売れたとしてもかなり低額での取引となってしまいます。

このような場合の解決方法として、道路と接する土地を購入し、袋地と合わせて売却するという策があります。

Aさんは、相続した預貯金と農地の売却代金を原資として、道路と接する隣地を購入することにしました。
Aさんの実家の隣地は、長らく空き家となっていたので、筆者は、隣地の登記情報を取得、現在の登記名義人に手紙を郵送し、事情の説明と売却のお願いをしました。

手紙を読んだ隣地の登記名義人Bさんから返事がありました。
Bさんによれば、Bさんも地元を離れ親から土地建物を相続したものの、古い建物を取り壊すのにも費用がかかるため、持て余していたとのことです。
Bさんと交渉し、Aさんは隣地を1,000万円(建物解体費用込み)で購入するという内容で売買契約が成立しました。
Bさんの土地と合わせ、Aさんの実家の土地は無事接道義務を満たしました。
また、面積が広くなったので、建物に加え車庫を作る余裕もできました。

そのため資産価値が上がり、Aさんは土地を2,500万円で売却することができました。

まとめ

売却しにくい不動産を相続した場合、通常の不動産を売却するよりも時間や手間がかかりますが、何らかの方法で売却することも可能です。

つい問題を先延ばしにして放置してしまいがちですが、せっかく相続した財産ですので、専門家に相談し有効活用する手立てを考えてみましょう。
売れない不動産がある場合等、相続登記でお困りの方は、司法書士法人、税理士法人を有している弁護士法人菰田総合法律事務所までご相談ください。
 

弁護士 國丸 知宏(Tomohiro Kunimaru)執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
國丸 知宏 TOMOHIRO KUNIMARU

得意分野は相続問題。
相続LOUNGEの動画セミナーで講師も務める。

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