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相続放棄コラム

相続放棄のメリットとデメリット

2023.06.09

当事務所でもご相談が多い相続放棄。これから相続放棄について、複数回にわたって解説していきたいと思います。
今回、第1回目はその法的な意味、相続放棄の期限、弁護士が代理人として申述するメリット等について解説いたします。

1.相続放棄とは

相続放棄は、法的に当初から相続人とならなかったものとみなされるため、遺産分割協議書や相続手続きの書類への押印等が不要となります。
この相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内にする必要があり、「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、基本的に被相続人が亡くなったことを知った時を指します。

相続放棄とは? ① ~相続放棄のメリット~

そのため、親が離婚して母親側に引き取られ、父親と長年交流がない状態が続いていた中で、何年もの時間が経ってから父親が亡くなったことをお子さんが知ったとしても、それから3か月以内に相続放棄をすれば問題ないことになります。
ただ、亡くなってから長期間が経っている場合には、裁判所からそれまで知る機会がなかったのか、なぜ今知ったのかという点を当然疑問視されますので、その点をしっかりフォローする必要はあります。

2.相続放棄のケース

そのほか、遺産がほとんどなく負債もないと思っていたため相続放棄をしていなかった場合に、債権者から借金の請求が来て初めて親に負債があると分かったケースでも相続放棄が認められる場合が多々あります。

なお、祖父が亡くなってすぐに父親が亡くなったといったケースにおいて、祖父に負債があるため祖父の相続はしたくないが、父親には資産があるため父親の分だけ相続したいというご相談も偶に受けることがあります。
この場合、父親が祖父に関して「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に亡くなっている場合には、父親が亡くなってから3ケ月以内は祖父の分だけ相続放棄をすることが出来ます。

相続放棄とは? ① ~相続放棄のメリット~

また、祖父の死から大分時間が経ってから父親が亡くなった場合でも、上記のとおり祖父に負債があることを父親が知らなかったというケースの場合には、祖父の分だけ相続放棄が認められるケースがありますが、この場合本当にそうだったのか裁判所から厳しく審査されるため、相続に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

現在、殆どの裁判所において、弁護士が代理人として相続放棄申述をした場合には、相続放棄の要件さえ満たしていれば、弁護士がしっかり相続放棄の法的な意味を相続人に説明して理解しているという弁護士への信頼を前提に、相続人本人に対する相続放棄意思確認の照会書を送付せずに、そのまま相続放棄が認められる運用となっております。

3.相続放棄のメリット

・被相続人の負債から解放される
相続放棄の最大のメリットは、被相続人の全ての負債から解放されることです。通常被相続人に負債がある場合は、各相続人が法定相続分に従って相続することになります。
しかし、相続放棄を行うと被相続人の全ての義務を放棄することができるので、被相続人の負債の返済義務を負う必要がありません。

・相続に関するトラブルに関わらなくてよい
相続放棄を行うと、申述人は初めから相続人とならなかったものとみなされるので、相続に関するトラブルに巻き込まれる心配がありません。
相続人間で揉めごとが起き、遺産分割協議や調停での話し合いに発展したとしても、一切関与する必要がなくなります。

ただ、地方裁判所の支部であったりすると、稀に代理人が就いていても相続人本人に相続放棄意思の照会書へ回答を求めることがあったり、内容からして念のため相続人本人に「相続放棄意思の照会書へ回答してもらう必要がある」と裁判所が判断した場合には、回答が必要な場合もありますので、その点はご留意ください。

4.相続放棄のデメリット

・プラスの相続財産も放棄しなければならない
相続放棄を行うと、被相続人の一切の相続財産を放棄することになるため、プラスの相続財産も全て手放さなければなりません。
被相続人の所有する土地や建物に住んでいた場合や、被相続人が所有していた物品等に思い入れがあり手放したくない事情があったとしても、全てを放棄しなければなりません。

・相続放棄は撤回することができない
相続放棄は一度受理されたら原則撤回することができません。もし相続放棄を行った後に、被相続人にプラスの財産があることが分かった場合でも撤回は認められません。
例外的に相続放棄の撤回が認められるのは、相続放棄の申述が詐欺又は脅迫によるものであった場合や、未成年者が法定代理人の同意なしに相続放棄申述をした場合等とされています。

・相続順位が変動する
相続放棄を行うと、相続順位が変動し次の順位の相続人に相続権が移ります。被相続人と疎遠で債務の存在を知らない親族に相続権が移り、思わぬ相続トラブルを引き起こしてしまう可能性もあります。
相続放棄を考えるときは、次の順位の相続人まで含めて全ての法定相続人を調べてから検討するようにしましょう。

5.弁護士に相続放棄を依頼するメリット

弁護士に相続放棄を依頼することで、相続放棄を確実かつ手間も最小限に出来ますので、まずは相続放棄に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

相続放棄でお悩みの方は、弁護士法人菰田総合法律事務所までお気軽にご相談ください。
次の記事はこちらから:相続放棄とは? ② ~相続放棄で注意すべき点~

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