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相続放棄

相続放棄・限定承認の取消申述受理と相続放棄の無効

2021.01.24

取消申述受理の効果

相続放棄・限定承認の取消申述受理相続放棄・限定承認の取消申述受理の審判がなされると、放棄・限定承認ははじめからなかったことになるのです。
熟慮期間中であれば、改めて放棄・限定承認の手続きをすることができますし、熟慮期間後であっても遅滞なく申述手続きを行えば、放棄・限定承認をすることができるのです。

しかし、相続放棄・限定承認の取消申述受理の審判がなされても、両者は併存し、既になされた相続放棄や限定承認の申述が取り消されるわけではありません。

そこで、相続放棄を前提に既に遺産分割が行われ、他の相続人が不動産について移転登記手続きを行ったり、現金や宝石などの動産類の分配を受けているとき、相続放棄の取消の申述手続き受理がされても、当然に当該遺産分割が無効になったり、登記の是正や動産類の引渡しを請求できるというわけではありません。このとき、遺産の分配を受けた相続人の協力を得て、登記の是正や動産類の引渡しを受けることになります。

相続人の協力が得られない場合は、遺産分割の調停を申し立て、その手続きの中で相続放棄の取消を主張し、遺産の分配について話し合うか、または、相続人全員を相手方として遺産確認の訴えを提起し、前提問題として相続放棄の取消を主張、立証することになります。

相続放棄の無効

民法919条2項は、相続承認・放棄の取消について定めているのみで、相続放棄に無効原因が存在する場合については触れていません。しかし、無効の主張も可能であると解されています。(例えば相続放棄が錯誤により無効であることを主張する、虚偽表示や心裡留保に該当し向こうであると主張する等)

相続放棄の無効の方式は、取消の場合のような規定がないので、家庭裁判所に申述するという方式をとることはできません。
判例は、相続放棄無効の確認訴訟は不適法であるとしており、相続放棄自体の無効確認訴訟を認めてはいないのです。
したがって、相続承認・放棄の無効主張については、裁判上もしくは裁判外において、相続に基づく法律関係の前提問題として主張します。

判例は、相続放棄についての錯誤無効の主張につき⑴相続税の軽減目的により放棄したが、高額になり目的を達せられなかった事例⑵他の相続人も放棄することを想定して放棄したが、自己が予想していた通りにならなかった事例において、いずれも動機の錯誤にあたり,民法95条の適用はない(無効を主張することはできない。)としています。

しかし、下級審においては、相続放棄の際の動機に錯誤があった場合に、民法95条の適用を認めた裁判例(東京高裁)や被相続人から多額の債務があると告げられていたため相続放棄をしたが、反対に多額の債権の存在が判明した場合、民法95条の適用を認めた裁判例(高松高裁)もあります。

また、相続放棄と同様の効果を有する共有持分権の放棄が虚偽表示であると主張した場合について、判例は当該放棄の意思表示が相手方と通じてなされた虚偽のものであるとして民法94条の適用を認めています。(最高裁)

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