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登記

【民法改正】配偶者居住権について

2023.06.05

配偶者が建物を所有していて、その方が亡くなってしまった場合、残された配偶者の住むところはどうなってしまうのでしょうか?
一定の期間、無償で居住する事ができる権利が、民法改正により、認められることになりました。

1.配偶者居住権とは?

夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、その配偶者が亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住する事ができる権利です。
民法改正により令和2年4月1日以降に発生した相続から新たに認められました。

2.配偶者居住権の考え方

配偶者居住権の考え方とは、相続人が遺した遺産である建物の価値を「所有権」と「居住権」に分けて考え、残された配偶者は建物の所有権を持っていなくても、一定の要件のもと居住権を取得することで、その建物に引き続き住み続けられるようにする制度です。
近年は核家族化も進み、親子関係の希薄化も相まって、自宅の所有権を相続しなかった配偶者が老後に住む場所を失ってしまう問題が発生していました。
これを解決して、残された配偶者が安心して老後の生活を送ることができるようにするために創設された制度になります。

配偶者居住権の改正前と改正後
改正前

配偶者…住居(所有権)2,000万円/現預金500万円
  …現預金2,500万円

改正前は、配偶者は住居に住み続けることができますが、生活費が足りなくなってしまいます。

改正後

配偶者…住居(居住権)1,000万円/現預金 1,500万円
子  …住居(所有権)1,000万円/現預金 1,500万円

改正後は、住居を所有権と居住権で分ける事により、配偶者も生活費が得られるようになりました。

3.配偶者居住権の成立要件

配偶者居住権が成立ためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

①残された配偶者が亡くなった人の法律上の配偶者であること
②配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなった時に居住していたこと
③遺産分割協議書、遺言、死因贈与契約書、家庭裁判所の審判のいずれかにより配偶者居住権を取得したこと

4.配偶者居住権の注意点

配偶者居住権は、上記の成立要件を満たせば権利として発生しますが、第三者に対抗する為には登記が必要であり、居住建物の所有者は配偶者に対して配偶者居住権登記をさせる義務を負っています。
なお、配偶者居住権の設定登記は配偶者と居住建物の所有者との共同申請となりますので、きちんと家族で話し合いながら進めたい手続きですね。

5.配偶者居住権の評価

配偶者居住権の評価額の算式

配偶者居住権の評価額は以下の算式(※図1)によって計算されます。
配偶者居住権の価額
※図1

(注) 居住建物の一部が賃貸の用に供されている場合または被相続人が相続開始の直前において居住建物をその配偶者と共有していた場合には、次の算式により計算した金額となります。

敷地利用権の価額の算式

敷地利用権の価額は以下の算式(※図2)によって計算されます。
居住建物の敷地の用に伴される土地の相続税評価額
※図2

(注) 居住建物の一部が賃貸の用に供されている場合または被相続人が相続開始の直前において居住建物の敷地を他の者と共有し、もしくは居住建物をその配偶者と共有していた場合には、次の算式により計算した金額となります。
図1・図2 国税庁HP No.4666 配偶者居住権等の評価より 引用
(引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4666.htm)

6.最後に

もし配偶者居住権を使いたい場合、当事務所なら弁護士が遺産分割協議書作成や審判のお手伝いができますし、司法書士が登記のお手伝いができます。
そのため、手続きだけでなく、評価方法など詳しく知りたい場合は、ぜひ当事務所にご相談いただければと思います。

 

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弁護士法人菰田総合法律事務所

福岡を拠点とした弁護士法人菰田総合法律事務所は、司法書士法人と税理士法人も有した法律事務所です。
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