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相続税

生命保険の非課税枠は使えていますか?

2020.09.18

生命保険金は、1人あたり500万円の非課税枠があるということは、結構有名な話なのではないかと思います。
ただ、話は知っているものの、実際に有効活用できているかどうかについては別物のようです。

今回は相続にまつわる生命保険の非課税枠について説明していきたいと思います。

1.生命保険金等の非課税金額

相続人(相続の放棄をした者や相続権を失った者を除く)が取得した生命保険金等の合計額のうち、非課税枠までの金額については相続税がかかりません。

2.非課税枠の計算式

500万円×法定相続人の数=非課税限度枠

3.実情をみると・・・

だいだい以下のパターンに集約されるのではないのでしょうか。

①節税対策として有効な場合

親族関係や財産の状況から勘案して相続税の節税対策として問題ない場合です。例えば、親族関係が父(以前死亡)、母(被相続人)、長男、長女のようなケースであれば、生命保険の非課税枠は500万円×2人(法定相続人の数:長男、長女)=1,000万円となります。

1,000万円の節税効果は、母(被相続人)の財産状況によりますが、相続税が出る財産を前提としたうえで相続税の最低税率が10%であることを勘案すると1,000万×10%=100万円は最低でもあるのではないでしょうか。
また仮に母の財産が13億円あれば、1,000万×55%(相続税の最高税率)=550万円もの節税効果を生みます。

②保険の節税効果は理解しているが保険に入るのに躊躇されている場合

生命保険に入ることにとても抵抗がある方は一定数いらっしゃいます。
相続税の節税効果のありがたみより、生命保険に入ることの抵抗感の方が大きいという心理状態が働いているものと思われます。
物事を判断する際に、何を重要視して判断するのかについては個々人の価値観によりますので、必ずしも節税最優先の判断をするばかりが良いとはいえません。
どうしても生命保険に入ることの抵抗感のほうが重要な判断基準でしたら、それを最優先するのは間違いではないと思います。

しかし、そういった場合でも、とりあえずは生命保険の節税効果を踏まえた上でご判断をされるのがよいです。
たとえば100万円の節税効果がある場合には、その100万円という効用と生命保険に入ることの抵抗感を今一度比較されて、「100万円<抵抗感」であれば当初のとおり無理してまで節税目的で保険に入らない方がよいです。
ただ、「100万円>抵抗感」と感じられるようであれば、当初の考えを改め、節税目的で保険に入られたらよいと思われます。

③節税対策として無効な場合

節税対策としての生命保険の有効性は理解しているものの、生命保険に関する知識があまりないため、保険の営業に言われるがままに保険契約をしてしまっている場合です。
これについては、ひとつ誤解のないようにしておかなければなりません。

おそらく多くの保険の営業の方は契約者にとってベストな契約をご提案されていることかと思います。
ですので、ほとんどのものは問題ないかと思いますが、中には「あれっ」と思うのも少なからず存在します。
また、契約当初は問題ないものでも時間の経過とともに有効性が薄れていくことも現実ありえることでしょう。

4.相続対策となっていない生命保険契約

では次のような保険契約は相続税の節税として有効でしょうか?

 問題

  • 親族関係   :夫(被相続人)、妻、長男、孫(長男の子)
  • 契約者    :夫
  • 被保険者   :夫
  • 保険料負担  :夫
  • 死亡保険受取人:孫
  • 死亡保険金  :1,000万円
  • 長男は生存中

 

 答え

 NGです。

●理由
一見、生命保険の非課税枠(500万円×2人(法定相続人の数:妻、長男)=1,000万円)で問題なさそうに見えます。
しかし、保険金の受取人が、法定相続人でない孫となっているため、非課税枠が使えないこととなっています。
また、非課税枠が使えないだけでなく、2割加算の適用も受けることになります。単純計算ですが、長男を受取人にする場合と比較して相続税の最低税率の10%であったとしても1,000万円×10%×1.2=120万円も多く税金を支払うことになってしまいます。
ただ、長男が夫より先に死亡してしまった場合には、孫が法定相続人となりますので、この場合には節税対策としては有効になります。

5.まとめ

生命保険による相続税の節税対策は有名ではありますが、本当に有効な契約となっているのでしょうか?
今回は触れませんでしたが、契約状況(契約者、被保険者、死亡保険の受取人、保険料負担者)がどうかによっても、課税される税目が相続税でなく贈与税や所得税となることもあります。

また、相続対策としては、一時払いの終身保険に加入するのがセオリーでありますが、中には定期保険となっている場合もあります。
定期保険であれば被保険者がお亡くなりになられたときに定期保険の契約が終了している可能性もあり、相続対策として意味をなさないこともあります。

本当に有効な契約となっているかどうかについて、今一度ご検討されてみてもよいかもしれません。

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