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相続一般

葬儀費用は誰が負担する?

2020.12.09

葬儀費用は誰が負担する?葬儀費用にはまとまった金額が必要となり、なかなかポンと支払うのは難しいこともあるかと思います。

故人の預貯金から支出すれば大丈夫、と思われている方もいらっしゃいますが、銀行等の金融機関は、契約者の死亡事実を確認し次第、故人名義の口座を凍結します。そのため、相続人全員の同意がなければ故人の預貯金を引き出すことが一切できないとされていました。

しかし、令和元年7月に施行された新制度により、
[相続開始時の預貯金額(口座ごと)]×[3分の1]×[払戻しを行う相続人の法定相続分]
について、相続人が直接金融機関に払戻しを請求できるようになりました(民法第909条の2)。

ただし、上限があり、150万円を超えて請求することはできません。足りない場合には、遺産分割調停や審判の申立てに加え、家庭裁判所に保全処分の申立てを行い、一部の仮払いを受けることも可能です(家事事件手続法200条3項)が、葬儀費用という名目であれば、150万円で十分といえるでしょう。

葬儀費用を故人の財産から支出するというのは、大きな問題があります。法律上、故人の債務については、相続財産から控除することができます。ここにいう故人の債務というのは、生前の未払賃料や光熱費、入院費用などのことです。一方、葬儀費用は当然のことながら、故人の死後に発生する費用であり、故人の債務には当たりません。そのため、葬儀費用のための支出を当然には故人の遺産から控除することはできません。

そうすると、葬儀費用は誰が負担することになるでしょうか。この点、法律上または最高裁判例において明確な決まりはありません。

ただし、最近の裁判例では、「亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配等して挙行した者が負担」(名古屋高判平成24年3月29日)すると判示されており、つまり、葬儀費用は喪主が負担すべきとの判断がなされています。

もちろん、相続人の同意があれば、葬儀費用を相続人全員の負担とすることも可能です。相続人としても、葬儀というのは故人のために行うものであることにあまり異論はないかと思われますので、相続人同士で遺産について揉めているケースであっても、葬儀費用については相続人全員の負担とすることに同意が得られる場合もしばしばあります。

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