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弁護士コラム

遺留分制度の見直しって?

2020.03.19

2018年7月6日、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)が可決・成立し、同年7月13日に交付されました。相続法は約40年ぶりの改正となり、本改正の1つとして「遺留分制度」に関する見直しが行われました。
今回は、この「遺留分制度の見直し」の内容について詳しくご説明します。なお、「遺留分制度の見直し」に関する規定は、2019年7月1日に施行されています。

1.現行の遺留分制度の問題点とは?

現行の遺留分制度には、遺留分減殺請求を行うことによって、減殺対象となった財産が複数の相続人による共有名義となってしまうという問題点がありました。

例えば、創業者の父が、自社を後継者である長男に全て相続させるという遺言を残して亡くなった場合、次男は長男に対して遺留分減殺請求を行うことができます。次男は遺留分減殺請求によって、遺留分として定められた割合を手にすることができますが、自社株式が長男と次男の共有状態になってしまい、会社の事業承継にあたって大きな支障となってしまいます。

また、減殺対象の財産が不動産の場合、遺留分減殺請求によって不動産の名義も複数の相続人の共有状態となってしまいます。不動産が共有状態になることで、その売却処分や利用方法の検討に大きな制約を受けてしまいます。

2.遺留分制度の見直し

そこで、本改正により遺留分制度は下記の見直しが行われました。

本改正により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額の請求(遺留分を侵害された額に見合う金銭を請求することができる権利)」という形で請求することができるようになりました。
遺留分を金銭で返還することが可能になったことで、事業用財産や不動産の共有状態の発生や、それによって生じる問題を回避することができます。
 また、遺留分侵害額請求をされた者は、弁済を直ちに行うことが難しい場合、裁判所に対し遺留侵害額の支払期限の猶予を請求することができるようになりました。

3.まとめ

本改正による遺留分制度の見直しは、遺留分の金銭請求を可能にしたことで、複数の相続人による相続財産の共有状態回避や、スムーズな事業承継の実現に大きく貢献する内容となっています。また、遺留分侵害額請求者にとっても、遺留分を金銭で受領できるようになったことは大きなメリットです。

また、「会社を長男に相続させたい」「代々引き継いできた土地を長女に相続させたい」等、遺贈や贈与の目的財産を特定の人に与えたいという遺言者の意思も尊重することができるようになりました。

改正した遺留分制度について詳しく知りたいといった方や、遺留分の対策をしたい方、遺留分侵害額を請求したいと考えている方は、弁護士に相談してみましょう。

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