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遺留分対策 ~遺留分を放棄させる・遺留分の時効~

2022.09.13

 

お子さんのうち、面倒をよく見てくれる長女さんには財産を残したいけども、何もしてくれない長男さんには財産を残したくないと思われる方もおられるかと思います。
このような場合に、長男さんに出来るだけ財産を残さない方法について、解説していきたいと思います。

 

相続する権利について

まず、既にご主人が他界しており、お子さんは長男さんと長女さんというケースを想定します。
この場合、お母様の財産を相続する権利は、長女さんと長男さんでそれぞれ2分の1ずつ有することになります。
つまり半分ずつになるということです。

これを避けるためには、長女さんにすべての財産を相続させるという遺言書を作成することになります。
ただ、この場合でも耳にされたことがあるかと思いますが、お母様のご意向に関係なく、遺留分という最低限財産を貰う権利が法律上認められており、それがお子さんの場合、法律上遺言書が無い場合に相続する権利の半分とされています。

そうしますと、本ケースの場合、長女さんにすべての財産を相続させるという内容の遺言書を作成したとしても、長男さんは遺留分として財産の4分の1を相続する権利を有することになります。
相続する権利について

相続する財産を減らす対策について

上で述べたとおり、長女さんにすべての財産を相続させるという内容の遺言書を作成したとしても、長男さんはお母様の財産の4分の1を相続する権利を有することになります。
そうしますと、この権利自体をなんとか無くさせたいという思いが出てきますが、そのためには、➀生前に長男さん自身に遺留分の放棄をさせる②遺留分の時効を待つ、という2つの方法があります。

➀については、長男さん自身が家庭裁判所に遺留分放棄の手続きをする必要があり、また、裁判所としても、放棄するに足りる対価が長男さんに当てられているか等、厳しく判断しますので、現実的な選択肢ではないことになります。
これからどんどん財産が増えていくことが予想される中で、現在の財産で対価が計算されることで、最終的に長男さんに渡す財産を少なくできるという意味で使える選択肢かと思います。

②については、遺留分侵害額請求の時効は、お母様が亡くなってから10年、亡くなったこと及び自身の遺留分が侵害されていることを知った時から1年とされており、前者は亡くなったことを知らずとも、10年経過すれば遺留分侵害額請求は時効となります。
すなわち、10年以上亡くなったことを長男さんが知ることがなければ、長男さんは遺留分の請求ができなくなることになります。

遺留分侵害額請求の時効

そのための方策については、次に詳述しますが、相続させる財産を減らすほかの方策として、生命保険に加入して受取人を長女さんにする、また、遺留分侵害額請求には10年以内に長女さんに贈与したお金も算定基礎となるため、色々と条件はありますが、長女さんに贈与をしていって、財産を減らしていき10年経過すれば遺留分侵害額請求を行う際の、長男さんが受け取る「財産」の4分の1における、そもそもこの「財産」に含ませないという方法があります。
ただ、既与により資力が殆どなくなると言った場合には、10年以上前の贈与も算定基礎に含まれる場合がありますので、その点はご留意ください。

遺留分侵害額請求の時効

上記のとおり、長男さんにおいてお母様が亡くなったことを10年以上知らなければ、遺留分の請求は出来なくなります。
それでは、直接長男さんに亡くなったことを伝えなければ、回避できるのでしょうか。

実は、遺言書をご自身で作成した場合、それを用いて不動産の名義移転等の相続手続きを行うためには、裁判所にて検認という遺言書を開封して記録に残す手続きを踏む必要があります。
それには時間も掛かりますし、何より相続人全員に通知がいくため、それで長男さんにおいてお母様が亡くなった事実を知ることになります。

また、法改正により、ご自身で作成した遺言書を法務局に預けることで、上記の裁判所における検認手続きが不要となる制度が始まりましたが、これもお母様が亡くなったと、長女さんが法務局から遺言書を受け取る際に、相続人全員に通知がいくため、それで長男さんにおいてお母様が亡くなった事実を知ることになります。
ただ、公正証書遺言という公正証書で遺言書を作成した場合には、お母様が亡くなった後に、長女さんが遺言書を取り寄せても、相続人全員に通知が行くことはないため、公正証書で遺言書を作る選択肢しかないことになります。

遺留分侵害額請求の時効

注意点としては、不動産は公正証書遺言だけでよいのですが、預貯金は遺言書の有無に関わらず、相続人全員の署名捺印を金融機関が要求するため、結局預貯金を解約するためには、長男さんにお母様が亡くなった事実を伝えなければなりません。
ですので、預貯金が殆どなく、主たる財産が不動産だけという方は公正証書遺言を選択されるのが良いことになります。

まとめ

以上のとおり、財産を渡したくない方が居られる場合の方策について記載させていただきました。
その他にも方策はありますが、ケースバイケースで複雑な内容になりますので、相続に詳しい弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

 

弁護士:川畑 貴史執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
川畑 貴史 TAKASHI KAWABATA
得意分野は相続、刑事、企業法務問題。
座右の銘は『急がば回れ』

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