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遺留分

代襲相続ときょうだいの遺留分

2022.10.25

ご相談内容

今回は、実際のご相談内容をもとに、「代襲相続」と「遺留分」についてご説明いたします。
80代女性のAさんからのご相談です。

Aさんはご主人とご結婚後、お子様はおられませんでしたが、ご主人と仲睦まじく生活をしてきました。
10年前にご主人を病気で亡くされてからは、1人暮らしをしているとのことです。
最近になって、ご主人も子どももいないAさんは、ご自身が亡くなった時、財産がどうなるのかが気になってきたとのことで、今回ご相談に来られました。
Aさんのご両親は既に亡くなっており、Aさんには妹(Bさん)と弟(Cさん)がいましたが、うちBさんは既に亡くなっており、Bさんには1人娘(Dさん。Aさんの姪)がおられるとのことです。
Aさんの家族構成を図にすると、次のようになります。

代襲相続ときょうだいの遺留分

代襲相続とは

Aさんの相続人は誰でしょうか。
Aさんに相続が発生した場合には、弟のCさんと、姪のDさんが相続人となります。
Dさんは、親であるBさんに代わって、Aさんの相続人になるというわけです。
このように、法定相続人が既に死亡しているなどの理由で相続できないとき、その子どもなどが代わりに相続する場合「代襲相続」といいます。

Aさんの思い

Aさんは、ご主人を亡くされてから、Dさんに何かと身の回りの世話をしてもらっていました。
幼いときに母親であるBさんを亡くしたDさんは、Aさんを実の母親のように慕い、Aさんもまた、Dさんを実の娘のように大切に思っていました。
そこでAさんとしては、できれば全財産をDさんに引き継いで欲しいとの考えがありました。

他方、Aさんは弟であるCさんとはあまり良い関係性ではありません。
Cさんは若い頃、お金に困るたびにAさんに金の無心をしてきており、その際に貸したお金も返ってきていないとのことでした。
最近は法事等で数年に1度会うくらいですが、顔を合わせると喧嘩になるような状況でした。

そのため、Aさんとしては、Cさんには財産を渡したくないと思っていました。

代襲相続ときょうだいの遺留分

Aさんの悩み

しかし、Aさんには心配なことがあるようです。

「姪Dに全てを渡すという内容の遺言書を書けば、Dに全財産を渡せるかと思ったのですが、それだと弟のCがDに何か言わないかが気がかりです。
Cは昔から自己主張が強く、Dは大人しくてあまり反論などできないので…。
インターネットで調べて『遺留分』というものがあると知ったのですが、私がDに全てを渡してしまったら、Cが遺留分を主張することになるのでしょうか?」

遺留分とは?

「遺留分」とは、噛み砕いてご説明すると、民法上定められている、法定相続人の方が、最低限相続できると期待できる割合のことをいいます。

遺留分の事例

例えば、ある方(Xさん)が亡くなり、法定相続人がお子様2人(YさんとZさん)である場合、法定相続分はYさんとZさんとで2分の1ずつです。
この場合、XさんがYさんに全財産を相続させるという遺言書を書いていた場合、ZさんはYさんに対して何か主張できないのでしょうか?
この時に問題になるのが遺留分です。

子であるZさんは民法上、遺留分として、法定相続分の更に2分の1については取得する権利があるため、4分の1(2分の1の2分の1)の遺留分を有します。
つまり、ZさんはYさんに対し、Yさんが相続したXさんの全財産の価値の4分の1に相当する金額について、Zさんに金銭を支払うよう請求することができ、この請求を「遺留分侵害額請求」と言います。

きょうだいの遺留分

さて、AさんはCさんにこの「遺留分」があり、CさんがDさんに請求をした場合、Dさんは相続した財産のうちの一定割合について、金銭を支払わないとならないのではないか、と心配されています。

しかし、実はきょうだいには遺留分がありません
そのため、Dさんが全財産を相続しても、Cさんには遺留分がない以上、DさんはCさんに対し何も支払う必要はないのです。

Cさんに遺留分がないことをお伝えすると、Aさんは安心されて、Dさんへ全財産を相続させるという内容の遺言書を作成されました。

代襲相続ときょうだいの遺留分

最後に

今回の「代襲相続」や「遺留分」は、基本的な相続知識ではありますが、このような知識が不明確だと、それだけで不安の種になってしまいます。

今回は基礎的なお話でしたが、実際は個別ケースに応じて複雑になる場合もあります。代襲相続や遺留分でお困りの方は相続に強い福岡の法律事務所、弁護士法人菰田総合法律事務所までぜひご相談ください。
 

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