tax accountant column

税理士コラム

生前対策~資産をなるべく減らす~

2020.12.28

生前に相続対策を行っておくことで、相続税を大幅に減らすことができ、スムーズな相続を実現できることを知っていますか。
今回は相続税の対象となる資産を減らす手段についてお話ししていきます。

相続税の額は、財産の評価額に応じて決まります。お亡くなりになった時点で保有している財産を次の世代に引き継ぐことになりますが、この時の財産の量が多ければ、相続税を課税するというのが日本の法律です。その上で、引き継ぐ財産の量が多ければ多いほど相続税の税率が高くなっていく仕組みになっております。つまり、財産の評価額をできるだけ減らすことが、相続税の節税の重要なポイントになります。
たとえば、墓地や墓石、自宅のリフォーム費用など、亡くなった後に必要となる費用を生前のうちに支払っておけば、預貯金を有益に減らすことができます。これによって、その分だけ相続財産の評価額を下げることができ、相続税の支払い額も減らすことができます。いつかは必ず支払わなければならないのであれば、相続開始前に支払っておく方が相続税額が減る分お得ですよね(リフォームについては少し注意が必要です。建築確認が必要なレベルかどうかにかかわらず、リフォームを行った結果、建物の固定資産税評価額が高くなってしまうケースがあります。相続税において建物は固定資産税評価額で評価を行いますので、リフォームを行った結果として、固定資産税評価額が高くなってしまえば、せっかくリフォーム代金を生前にお支払いになっても、建物の評価額が上がってしまった結果、あまり節税にならないケースもあり得ます。この辺はリフォームしてくれる業者さんとしっかり話しておきましょう。)

また、生前贈与といった手段もあります。贈与税の対象とならない非課税措置による贈与であれば節税対策に資するといえます。非課税対象となる贈与は以下の通りです。
なお、生活費の贈与は、法律上の義務である扶養義務に基づいて行われるものですので、贈与税の対象外となります。

① 暦年贈与
1年間で贈与を受けた額が基礎控除額の110万円以下であれば非課税となります。

② 配偶者贈与控除
婚姻期間が20年以上の夫婦間において居住用不動産やその購入資金を贈与した場合には、2000万円を限度に非課税となります。

③ 教育資金の贈与
30歳までの受贈者に贈与した教育資金は1500万円を限度に非課税となります。なお、この制度は2026年3月末までなので注意が必要です。。

④ 結婚・子育て資金の贈与
50歳までの受贈者に贈与した結婚・子育て資金は1000万円を限度に非課税となります。なお、この制度は2025年3月末までなので注意が必要です。

⑤ 住宅取得等資金の贈与
一定の耐震性や省エネルギー性を備える住宅用家屋を贈与した場合には1000万円、それ以外の住宅用家屋を贈与した場合には500万円を限度に非課税となります。なお、この制度は2026年12月末までなので注意が必要です。

⑥ 特定障がい者への贈与
特定障がい者扶養契約に基づく信託受益権を利用して贈与をした場合、特定障がい者の場合は6000万円、それ以外の障がい者の場合は3000万円の限度で非課税となります。

⑦ 相続時精算課税制度
年間100万円以下の贈与であれば非課税となる「基礎控除」と、基礎控除を除いた贈与額が累計2500万円の限度で非課税となる「特別控除」があります。

他にも、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用する手段や、空き家や更地を所有している場合には、収益物件として活用することで不動産の評価額を下げる手段もおすすめです。

このように、節税対策には様々な手段があり、自身の家庭に合った手段を活用していくことが大切です。非課税制度は税制改正によって変動があるため、わからない場合には早めに専門家に相談すると良いでしょう。
 

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監修 菰田泰隆

KOMODA LAW OFFICE(弁護士法人菰田総合法律事務所)

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弁護士の他に税理士・司法書士が在籍しており、相続関連業務の弁護士(代理人)業務だけではなく、相続手続から相続登記、相続税申告まで全てを解決できる相続特化の総合法律事務所です。
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